著者
楊 應吟
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.191-195, 2006-05-01 (Released:2011-03-18)
被引用文献数
1 1

過去、台湾の鍼灸術は「師徒伝承」の個別伝授法だったが、1955年に台北市鍼灸学会が政府機関の認可を獲得した後, 研修会を介した体系的な習得法にかわった。20年のうちに鍼灸学を学習する者も増えて、一般民衆にも鍼灸に対する効果を認められ、徐々に鍼灸治療を受ける患者さんも増えてきた。1975年やっと鍼灸療法が受け入れられるようになってきた矢先に、「新医師法」が実施され、今までの鍼灸師は無資格となり、数多くの鍼灸師は台湾から国外へ流出してしまった。国外では資格試験の制度があるが、台湾には鍼灸に関する資格制度が無く「中医師」の試験に合格した者は、 “漢方薬の処方も、鍼灸師の資格と開業を許される” と言う摩詞不思議な制度が出来てしまったのである。中医師の試験に鍼灸の科目が加わったのは1989年になってからで、筆記試験だけで実技試験はない。だからこの間、中医病院の鍼灸治療はバリ専門の実技研修を受けたベテラン達が担当していて中医師ではない。この様にこの道に精通しない者が指導的な役割を担っていることは、鍼灸界の発展はおろか阻害となり、台湾における鍼灸に対する研究の遅れは、この不当な制度の為である。過去30年間も、「鍼針灸の合法化」の抗議運動を起こしてきたが、衛生署と中医師公会の反対に逢い、いまだに混沌たる時代にいる。日本に於いては、電子顕微鏡、コンピュータ等のハイテクを駆使して針灸に取り組んでいるのである。政府はいち早くこの事に目覚めて、早急に針灸の発展に切り替える政策こそが衛生署主管の急務だと思う。いまや鍼灸術は国際的になり、WFASは毎年国を変えて学術大会を行っている。もし先進国の日本に、世界各国から鍼灸の勉強が出来る環境をもつ国際的な鍼灸大学が出来れば、鍼灸を通して国際交流が出来, 若き未来の医師たちに切れ掛かった親日の絆を挽回してもらえると思う。

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