著者
近藤 智靖 高橋 健夫 岡出 美則
出版者
Japanese Society of Sport Education
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.11-26, 2005-07-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
25

身体経験論は、ドイツのスポーツ教授学分野の中の一つの考え方である。この考え方は、現在のノルトライン・ヴェストファーレン州学習指導要領に一定の影響を与えている。本論ではその論に着目し、その概念や実践及びそれを巡る論議についてFunkeとGrupeとの関わりを中心に考察を進めていく。この検討を通じて身体を教科の中で位置づける際に、何が論点になるのかを明らかにする。結果、次の点が明らかになった。1. Funkeが身体概念を検討する際に、常にGrupeの存在を意識していた。Grupeの理論にFunkeは一方で共鳴をしつつ、他方でその在り方に疑問を呈していた。2. 1983年のADL大会でFunkeの考え方はGrupeによって批判された。Grupeは身体経験概念の不明確さと経験の選択基準の曖昧さを批判した。しかし、この批判を契機としてFunkeは理論や実践を再考しはじめた。こうしたドイツの身体経験論の論議と変容過程を踏まえて、我が国の体育科教育学分野で身体の問題が議論されるべき際に論点となることは次の三つである。1. 体育科教育学において身体概念をどのように捉え、どのような論議をしていくのか。2. 学習内容を設定する際に、どのような経験を保証し、その選択基準をどうするのか。3. 学習内容に適した素材をどうするのか。

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