著者
友田 明美
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-7, 2020-02-25 (Released:2020-03-04)
参考文献数
23

近年,児童虐待と「傷つく脳」との関連が脳画像研究からわかってきた.例えば,暴言虐待による「聴覚野の肥大」,性的虐待や両親のDV目撃による「視覚野の萎縮」,厳格な体罰による「前頭前野の萎縮」などである.虐待を受けて育ち,養育者との間に愛着がうまく形成できなかった愛着障害の子どもは,報酬の感受性にかかわる脳の「腹側線条体」の働きが弱いことも突き止められた.こうした脳の傷は「後遺症」となり,将来にわたって子どもに影響を与える.トラウマ体験からくるPTSD,記憶が欠落する解離など,その影響は計り知れない.しかし,子どもの脳は発達途上であり,可塑性という柔らかさをもっている.そのためには,専門家によるトラウマ治療や愛着の再形成を,慎重に時間をかけて行っていく必要がある.一連のエビデンスについて社会全体の理解が深まることで,大人が責任をもって子どもと接することができ,子どもたちの未来に光を当てる社会を築くことに少しでもつながればと願っている.

言及状況

外部データベース (DOI)

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米国及び国内におけるマルトリートメント被害経験児童の脳画像解析と子どもの強さと困難さアンケートから2種の愛着障害発生と被害時期、及び腹側線条体の賦活と一次視覚野容積減少の関連を指摘した論文。 「不適切な生育環境に関する脳科学研究」 2020年 著者/ 友田 明美 https://t.co/TMnOQQ0D21
@q8eqxRRt4HQBjwS NHKでそういうのやってた記憶があるのでググってみたんですけどコレですかね? https://t.co/n7kq2cGQ8V https://t.co/L3xPb90nT5
体罰を受けて育った子供と パパが病院へ行くの巻 医師「この子は前頭前野が委縮していますね。 今の精神状態から推測すると、 相当なPTSDの状態にある可能性が考えられますね」 体罰容認パパ 「体罰でしっかり躾けたつもりです。 そんな病気にうちの子がなるなんて。。。」 https://t.co/hX8aCkLCWe
@tOKUshi_gpa5 卒論×脳系で読んだのはこれ https://t.co/odH4RGDodO
友田明美「不適切な生育環境に関する脳科学研究」日本ペインクリニック学会誌2020 年 27 巻 1 号 ↓こちらのページからダウンロードできます https://t.co/XHjCLoCXTM #マルトリートメント #虐待 #不適切養育 #逆境的体験
不適切な生育環境に関する脳科学研究 https://t.co/vK758qimV0
脳萎縮というか虐待の最近の研究のソース https://t.co/GbO5qE1V9r
これまであまり触れないようにしていたのですが、DSM-5を引きながらRADとDSEDをこのように解説しているということは、アタッチメント研究だけではなく、DSMもきちんと目を通していないのでしょうかね。 https://t.co/XjyolukOdq

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