著者
申 恩真
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.71-83, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

サッカー日本女子代表が2011年に開催されたFIFA女子ワールドカップで優勝して以来、日本の女子サッカー選手の生活形態が問題視されるようになった。そこでは、多くの女子サッカー選手が仕事とサッカーを掛け持ちしていることや、男子サッカー選手との待遇面での格差が主に取り上げられた。だが、こうしたメディア言説を中心に構築された経済的問題に関する議論は、選手の日常生活とサッカー実践の間に生み出されるいくつかの問題を不可視化してしまう。つまり、女子サッカー選手が直面する社会生活上の質的問題については、議論の外に置かれがちになる。こうした中で、彼女らはどのように就労し、どのような仕事環境で働きながらサッカーを実践しているのだろうかというものを問う作業は、彼女らが抱えている困難へ接近することを可能にする。したがって、本稿では、女子サッカーチームで行ったフィールドワークをもとに、従来の経済的支援に特化された議論に対して、女子サッカー選手の生活形態に焦点化して論じることを試みる。とりわけ、女子サッカーチームの「支援企業」で働く選手に注目し、そこでの仕事環境とサッカー実践との関係性を解明する。結論として、雇用した支援企業と雇用された選手の関係は、支援する者/支援される者として形成され、そこで築かれた関係性が女子サッカー選手の日常生活に構造化されている点が明らかになった。このことから、選手の生活全体における支援の「質的位相」を視野に入れる必要性を示唆する。

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今年の2月くらいに残したメモが現状を結構語ってた。 リンク先はこれ https://t.co/faRTrjYYGV https://t.co/bLUwjQblWc
【文献情報】日本の女子サッカー選手の多くが、仕事とサッカーを掛け持ちしており、支援企業と所属チームとの間で葛藤が生じることがある。https://t.co/hsziY8fRJ1

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