- 著者
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菊地 勝弘
遊馬 芳雄
谷口 恭
菅野 正人
田中 正之
早坂 忠裕
武田 喬男
藤吉 康志
- 出版者
- Meteorological Society of Japan
- 雑誌
- 気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.6, pp.715-731, 1993-12-25 (Released:2009-09-15)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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冬季の海上の層積雲の雲頂の構造と反射率の関係を調べるために、航空機によるステレオ写真観測法を使った観測が1989年1月から1991年1月にわたって、日本海の若狭湾沖および奄美諸島周辺の太平洋上で行われた。最初に、雲頂高度と反射率との間の関係が調べられ、両者の間にはかなりよい相関が認められた。特に奄美諸島周辺での観測では高い相関が認められた。次にCloud area ratio(雲の領域率)と雲頂の反射率との関係が調べられた。その結果、低い反射率の雲域では雲頂高度が比較的低くて雲層が薄く、また、その高度差は大きく、雲頂の形状は鋸の歯のように鋭かった。一方、高い反射率の雲域では雲頂高度が高くて雲層が厚く、そして一様で形状は平で台形のような形をしていた。しかし、奄美諸島北部の例では、雲頂高度が他の2例に比して低く、しかも最高雲頂高度と最低雲頂高度との高度差が400m以上もある層積雲であったにもかかわらず、その反射率は比較的高かった。この反射率の違いはliquid water pathの差によるものと推定される。