著者
有田 正規
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.755-762, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)

義務教育や高校で利用するデジタル教科書(デジタル副教材)の開発が進む。参考にすべきは,企業に主導権を握られる形でデジタル化を進めた結果,コスト高にあえぐ学術情報の分野である。デジタル教材の導入は,学校間の格差を広げ,公教育とは呼べない状況を引き起こしかねない。見過ごされがちなのは,デジタル化による課金方法の変化である。紙の教科書は1度購入すればモノが手元に残る。しかしデジタル版はアクセス権維持やアップデートを通じて従来と違うコストが発生する。紙版とは異なる情報のリテラシーも必要になる。とりわけ参考になるのは公共図書館における電子書籍貸し出しや,大学図書館が契約する学術雑誌の電子ライブラリーの状況だ。いずれの場合もデジタル化を契機に価格が高騰した。紙の書籍ですら教科書の変更には労力が要る。教科書のデジタル化は長期的にどのような影響を及ぼすのか。維持コストや乗り換えコスト,リテラシーといった側面からも慎重な検討が必要だ。

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[図書館][science][university][エレクトリック][本]
[デジタル教科書][デジタル副教材][DiTT] 『企業に主導権を握られる形でデジタル化を進めた結果,コスト高にあえぐ/コストの観点から問題点を指摘/確固とした指針や政策がないままに企業主導の方針決めを認めていると,そのコストは非常に高くつく』

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"図書館" デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ https://t.co/uKHi7rklWt
デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ https://t.co/AerqZQdWNv
“デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ” https://t.co/I6IdtlLpIi #図書館 #science #university #エレクトリック #本
「情報管理」2016年1月号 デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ 有田正規氏が、デジタル教科書の導入に伴う検討事項を指摘し、デジタル化のコストやオープン化についての議論を呼びかけます。 https://t.co/QDfgmL8Q4d
社会教育のデジタルデバイドを促進してるゆうことか > デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ https://t.co/PrRGTth8Rm
『企業に主導権を握られる形でデジタル化を進めた結果,コスト高にあえぐ/コストの観点から問題点を指摘/確固とした指針や政策がないままに企業主導の方針決めを認めていると,そのコストは非常に高くつく』 / “デジタル副教材の社会的コス…” https://t.co/oQeMD7W0Nb
#佐賀県、#武雄市 におけるタブレット導入問題を知っている方ならば、この記事を読んで頷かれることが多いだろう。 デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ https://t.co/AerqZQdWNv https://t.co/qela3hHySD
”国内には,デジタル出版が社会に与える影響について議論するのに十分な素地がない。そうした議論を経ないで導入されようとしているのが,義務教育や高校が利用するデジタル教科書なのである。” https://t.co/AerqZQvyc5
”紙版の時代は大学図書館を訪れれば誰でも学術雑誌を閲覧できた。しかし電子化とともに大学図書館の公共性は失われた。この変化は新聞記者のようなメディア関係者や定年退官した教員をはじめ,科学に興味をもつ一般市民に大きな影響を及ぼしている” https://t.co/AerqZQdWNv
”価格高騰のために大手出版社の電子ジャーナルを契約できない大学が続出し,大学間の情報格差を引き起こしている。 それにもかかわらず,契約を続行できる大学図書館は電子ジャーナルへのアクセスを職員と学生に限定する” https://t.co/AerqZQdWNv
”それを見越した出版社側は,雑誌ごとの切り売りをせず,パッケージで提供する包括契約(ビッグディール契約)を図書館側に要求する。そうして年々購読料をつり上げることにより,シリアルズ・クライシスと呼ばれる図書館の破綻状況を招いている” https://t.co/AerqZQdWNv
”こうした問題については参考文献11)のほか,佐賀県武雄市をはじめとするTSUTAYA図書館問題でのさまざまな意見が参考になる注5” https://t.co/AerqZQdWNv
”そうすると,サービス自体がプラットフォーム依存になり,他社への切り替えが困難になる。プラットフォームを通じた個人情報や閲覧履歴の流出問題も発生する。” https://t.co/AerqZQdWNv
”その結果(電子書籍の複製コストが無料であるにもかかわらず),貸し出しを1回につき1人とし,回数も限定するモデルに落ち着く11)。そしてアクセス権を管理する図書館向け貸し出しプラットフォーム(ソフトウェア)を導入する” https://t.co/AerqZQdWNv
”まず市町村にある公共図書館を考えてみよう。図書館側は,アクセスできる書籍の総数が年間予算に依存しては困る。そのため,毎年の予算で電子書籍の永久アクセス権を購入したい。しかし出版社側は,それを無制限に貸し出されると困る” https://t.co/AerqZQdWNv
”しかし長期的には紙よりコストがかかる。具体的には,数年おきに情報端末を買い替えねばならない。また10年もすれば閲覧ソフト自体の変更も余儀なくされる” https://t.co/AerqZQdWNv
”紙の本は1度購入したら数十年は利用できる。しかし劣化しないはずのデジタル版は定期的に投資を必要とする。そのぶん,当面の価格は安くみえるかもしれない。” https://t.co/AerqZQdWNv
”デジタル教材の導入は,学校間の格差を広げ,公教育とは呼べない状況を引き起こしかねない” デジタル副教材の社会的コスト:公的サービスとデジタル市場のギャップ 情報管理Vol. 58 (2015) No. 10 p.755-762 https://t.co/9sQ69H0rkN

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