著者
奥田 拓道
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.989-996,1195, 1999-10-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

脂肪細胞には, 脂肪の合成と分解の代謝経路が存在する。脂肪合成には, グルコース経路とリポタンパク経路がある。グルコース経路については, 現在広く信じられているインスリン受容体説の他に, 我々の提唱するNa+/H+チャネル説を紹介した。また, ヒトの脂肪細胞にもATP-citrate lyaseが存在するので, グルコースからの脂肪酸合成も可能なことを示した。リポタンパク経路は, 毛細血管内皮細胞に固定されたリポタンパクリパーゼによって, カイロミクロンやVLDLの脂肪部分が分解され, 生じた脂肪酸が細胞内に取り込まれ, 脂肪に合成される経路である。合成された脂肪は小胞の二重層の内部に蓄積され, その容量を増す。したがって, 生じた油滴の表面は, 小胞膜を形成するリン脂質やタンパク質の単層膜で覆われている。カテコールアミンやACTHによる脂肪分解反応の促進はサイクリックAMP→タンパクキナーゼ→ホルモン感性リパーゼのリン酸化による活性化といういわゆるサイクリックAMP説で説明されている。しかし調べてみると, 脂肪細胞内には, ホルモンを作用させない状態でも大量のリパーゼが存在し, ホルモンによって脂肪分解が促進したり阻害されたりしても, このリパーゼの活性は変動しない。脂肪分解反応は, リパーゼ活性の増減ではなく, リパーゼと油滴との接触の程度によって調節されているのではないかという新しい提言をめぐって議論した。

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