著者
安達 友広 久保 勝裕 木曾 悠峻
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1296-1303, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
24

明治20年代から本格化した北海道の市街地建設では、多くがグリッド市街地と鉄道施設が同時期に建設された。そして、鉄道駅に直交する駅前通りの設置、それに間口を向けた街区計画など、合理的な計画が実践された。しかし、開拓の経緯や、近世遺構や微地形などが市街地設計に影響を与えており、北海道における市街地空間の固有性の検証においても、こうした視点を改めて見直すことが必要であろう。本研究では、かつての舟運に注目し、建設時から現在までの船着場を中心とした市街地構造を把握し、現在まで継承されてきた都市軸の実態を明らかにした。例えば、名寄市街地では、駅から離れた船着場付近に当時の中心街が形成された。現在では、その後に拠点化した駅前地区との間に「L字骨格」を継承している。千歳市街地では、自衛隊基地等の立地も影響し、船着場があった川沿いに飲食店街等が発達した。現在でもそのゾーニングは継承され、千歳川を都市軸として都市機能が集積している。以上、開拓期の船着場は物流基地として高い拠点性を持った。これが一因となり、市街地固有の都市軸の形成を促し、駅中心の市街地構造に移行しながらもそれを現在に伝えている。

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