著者
堀口 康太
出版者
日本老年行動科学会
雑誌
高齢者のケアと行動科学 (ISSN:18803474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.66-81, 2022 (Released:2022-12-30)

本研究の目的は,組織公平性,組織からのサポート,役割葛藤および役割のあいまいさという3つの職場要因と高齢労働者の仕事への自律的動機づけとの関連を検討することであった。本研究では,組織公平性と組織からのサポートは,自律的動機づけと正の関連を示し,役割葛藤および役割のあいまいさと自律的動機づけは負の関連を示すという仮説を検証した。調査は,企業に勤務する高齢労働者771名に対して行い,558名から回答を得た(Mage=62.00歳, SD=1.35歳,男性93.7%[n=523],女性4.3%[n=24],不明2.0%[n=11])。重回帰分析の結果,組織からのサポートが自律的動機づけ(「内発・貢献・自己発揮」,「獲得・成長」)と正の関連を示し,組織公平性は「内発・貢献・自己発揮」と正の関連を示した。一方,役割葛藤は自律的動機づけと負の関連を示した。したがって,本研究の仮説はおおむね支持された。本研究から高齢労働者の仕事への自律的動機づけの維持・向上のためには,上司からの公平な人事評価,上司・同僚との間の支援的な関係性,そして,業務上の役割を明確にできるようなサポート等,支援的な組織づくりをしていくことの重要性が示唆された。

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高齢者が働きやすい職場=他の世代も同じ。 その他気になった所。「定年退職前と同程度の収入が あるという回答は 6.8%」「多くの高齢労働者は、収入の減少や役割の解除等、処遇の喪失的変化を経験する」https://t.co/3rCMLYGojn #高齢者就労論文
この研究の特徴は、企業の方とのコラボレーションの結果であること✨ 60歳以上の働く高齢者が自分の仕事に意味や価値を感じて働くためには、公平な評価を受けられることや上司・同僚からのサポートが必要であることが示唆されたよ☝️ 論文は以下からご覧ください

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