- 著者
-
篠崎 昌子
川崎 葉子
猪野 民子
坂井 和子
高橋 摩理
向井 美惠
- 出版者
- 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.52-59, 2007-04-30 (Released:2021-01-16)
- 参考文献数
- 9
3歳から6歳の自閉症スペクトラム幼児(ASD児)123名と保育園に在籍する定型発達幼児(一般児)131名の保護者に対し,食材(品)8種類46品目の摂食状況についてのアンケート調査を実施し,比較検討し以下の結果を得た.(1)ASD児では「絶対食べない」食材(品)がある人数およびその食材(品)の数は一般児に比べ有意に多かった.21個以上と多数の品目を絶対食べない児が,いずれの年齢でも10%前後存在した.ASD児が絶対食べない理由として,外観を挙げることが多かったが,一般児では食べない理由は様々であった.ASD児の知能障害の有無と,絶対食べない食材(品)数との間には統計的な有意差はなかった.(2)ASD児ではしばしばそれまで食べていた食材(品)を食べなくなることや,食べなかったが食べるようになると言ったエピソードがあり,食べなくなるエピソードは60%,食べるようになるエピソードは53%といずれも半数以上に見られた.一般児ではそれぞれ14%,11%で,両者には有意差があった.知能障害の有無との関係では,食べなくなるエピソードが,有意差をもって遅滞群で多く見られた.(3)いわゆる偏食があっても,時期を待つことで自然軽快する可能性が大きいという結果は,療育上重要である.