著者
野村 秀明
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.616, pp.616_5-616_22, 2012-03-31 (Released:2013-08-02)

損害保険会社の海外進出の目的は,1980年代頃迄は,海外進出した日系企業の現地でのリスクを引受けることであった。その後アジア等新興国の経済成長に伴って,ローカル市場も魅力的になってきたことから,1990年代頃から損保各社は,現地企業及び個人のリスク引受も行うようになってきた。更に2000年代以降は,M&Aも活用してより本格的にローカル市場に参入するようになってきている。こうした海外事業展開は,成長市場への布石,収入保険料及び利益への寄与,収益性の向上等を目指したものであり,ポートフォリオ分散による安定化といった効果も現れてきている。一方,現地の規制・文化に合わせた商品開発やマーケティング,リスク管理・ガバナンス態勢の強化,国内外の人材の有効活用といった課題も生じてきている。日本の損保市場拡大が見込みにくい一方,新興国等では市場拡大及び収益性が見込めることから,損保会社は様々な課題に取り組みながら,今後益々活発に海外展開を進めていくのではないかと考えられる。

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