著者
吉田 右子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.103-111, 2004-10-10 (Released:2017-05-04)

本研究では1960年代から1970年代の子ども文床運動を分析する。子ども文庫活動は子どもの読書環境の向上を願う母親の要求を出発点とし,そこから派生した公共図書館設置にかかわる住民運動として1つのムーブメントとなった。文庫活動は日本独自のユニークな文化運動として発展を続け,全国に3,000以上ある文庫はわが国の児童図書サービスの重要な拠点となっている。本研究では初期子ども文庫活動に3つの時代区分を与えた上で,文庫と公共図書館の関係を整理する。そして先行研究が図書館サービスの存在に拠って文庫をとらえてきたこと,さらにそれが文庫研究の範囲を限定してきたことを指摘する。さらにコミユニテイの読書環境を視野に入れた研究を進めていくために必要な要素を先行研究から抽出した。(1)既存の読書運動との連続/断絶, (2)石井桃子『子どもの図書館』の影響, (3)文庫を担う母親のとらえかたの3論点が,今後の文庫研究における議論の手ががりとして引き出された。

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かつて熱心に文庫活動をしていた寺院のルポを執筆中。取材時にはチンプンカンプンだったが、この論文を読んで理解が進んだ。文庫活動を「住み開き」の系譜として解釈したら、今日的な意義についても検討できそう。 吉田右子「1960年代から1970年代の子ども文庫運動の再検討」 https://t.co/lt1rtJsGKm

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