- 著者
-
藤谷 順三
西良 浩一
- 出版者
- 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
- 雑誌
- Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.6, pp.869-877, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
- 参考文献数
- 12
腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)に示されたように,腰痛治療の選択肢として運動療法は重要である.近年,Motor Controlの概念に基づくピラティスの有効性が注目されている.ピラティスのコンセプトは,Joint by Joint Theoryに基づき,低可動な胸椎・股関節は可動性(mobility)を,過可動な頸椎・腰椎は安定性(stability)を向上させることで,脊椎へのメカニカルストレスを低減・分散させることである.ピラティスによる運動療法を行う際は,呼吸に伴う体幹筋群のdraw-in & bracing,脊柱や四肢の長軸方向の伸長,脊柱の分節的な動き,四肢の分離運動,全身の統合を常に意識させる.また,疾患によってアプローチが異なり,例えば,腰椎後弯症の場合は,胸椎のmobilityを向上させた上で,腰椎・骨盤(コア)のstabilityを図る.一方,腰椎椎間板ヘルニア術後の場合は,まずコアの安定を図り再発予防につなげる.現在,当院を拠点に関連病院と連携し,ピラティスによる運動療法を推進している.今後,ピラティスが腰痛患者の運動療法のゴールドスタンダードとなるべく,検討を重ねたい.