著者
西良 浩一
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.119-129, 2011 (Released:2017-05-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1
著者
藤谷 順三 西良 浩一
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.869-877, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
12

腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)に示されたように,腰痛治療の選択肢として運動療法は重要である.近年,Motor Controlの概念に基づくピラティスの有効性が注目されている.ピラティスのコンセプトは,Joint by Joint Theoryに基づき,低可動な胸椎・股関節は可動性(mobility)を,過可動な頸椎・腰椎は安定性(stability)を向上させることで,脊椎へのメカニカルストレスを低減・分散させることである.ピラティスによる運動療法を行う際は,呼吸に伴う体幹筋群のdraw-in & bracing,脊柱や四肢の長軸方向の伸長,脊柱の分節的な動き,四肢の分離運動,全身の統合を常に意識させる.また,疾患によってアプローチが異なり,例えば,腰椎後弯症の場合は,胸椎のmobilityを向上させた上で,腰椎・骨盤(コア)のstabilityを図る.一方,腰椎椎間板ヘルニア術後の場合は,まずコアの安定を図り再発予防につなげる.現在,当院を拠点に関連病院と連携し,ピラティスによる運動療法を推進している.今後,ピラティスが腰痛患者の運動療法のゴールドスタンダードとなるべく,検討を重ねたい.
著者
友成 健 後藤 強 佐藤 紀 大澤 俊文 後東 知宏 西良 浩一 加藤 真介
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11812, (Released:2020-11-02)
参考文献数
32

【目的】本研究の目的は,末期変形性股関節症(以下,股OA)患者の脊椎アライメントおよび脊椎可動域を明らかにすることである。【方法】末期変形性股関節症患者11 名(以下,OA 群)と健常高齢者16名(以下,対照群)を対象とした。測定項目としてspinal mouse® を用い,立位での静的な脊椎アライメントの比較および,立位および四つ這い位での動的な脊椎可動域を測定した。【結果】立位による胸腰椎の脊椎アライメントは両群間に有意差は認めなかった。立位および四つ這い位におけるOA 群の腰椎可動域は,対照群と比較して有意な減少を認めたが,胸椎可動域は有意差を認めなかった。【結論】末期股OA 患者は静的な胸腰椎アライメントは健常高齢者と差を認めないが,動的な腰椎可動域に関しては減少することが示唆された。
著者
古本 太希 浜田 大輔 片山 綾音 松井 祐 川村 由佳 友成 健 加藤 真介 西良 浩一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.531-539, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
31

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後患者の階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できているのかを明らかにすること。【方法】対象は,術後1 年以上経過し降段動作が1 足1 段様式で可能なTKA 群8 例と同年代高齢者である健常群10 例とした。降段動作解析は,三次元動作解析装置と床反力計を用いて矢状面の関節角度,関節モーメント,関節パワーと表面筋電図にて下肢筋活動を計測した。主要な計測項目である膝関節伸展モーメントの第1 ピークの立脚前期(20%)と第2 ピークの立脚後期(80%)ですべての計測データを比較した。【結果】TKA 群の降段動作時の遠心性膝関節伸展モーメントは,立脚前期および立脚後期のいずれも健常群よりも有意に低かった。【結論】TKA 後1 年経過しても階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できていなかった。
著者
安井 夏生 松浦 哲也 二川 健 西良 浩一
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

オステオアクチビンは膜結合型の糖タンパクで、細胞外ドメインと膜貫通ドメインをもつ。我々はスペースシャトルで無重力を体験したラットの筋肉にオステオアクチビンが高発現していることを報告した。オステオアクチビンは機械的ストレスの感知機構に何らかの役割をはたしていると考えられてきたが、延長仮骨における発現は現在まで調べられていない。本研究ではマウス下腿延長中にオステオアクチビンがタンパクレベルでも遺伝子レベルでも過剰発現していることがわかった。またオステオアクチビンの細胞外ドメインは延長仮骨には多数存在するが、延長を行わない骨切り部には存在しないことが明らかとなった。延長仮骨においてはMMP-3も高発現していたが、これはオステオアクチビンの細胞外ドメインに誘導された結果と考えられた。さらにオステオアクチビンは延長仮骨における骨吸収を抑制している可能性が示唆された。最近、我々はオステオアクチビンのトランスジェニックマウスの作成に成功し、徳島大学動物実験委員会に届け出た上で交配・繁殖させてきた。このマウスを用いて下腿延長術を行い正常マウスと比較した。予想されたとおりオステオアクチビンのトランスジェニックマウスではMM-Pが過剰発現しており、同時に延長仮骨の吸収が著明に抑制されていることがわかった。
著者
西良 浩一
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

(臨床的観測)肘頭の形態と各種肘頭過労性骨障害の出現率との関係を検討したところ、肘頭疲労骨折では肘頭が台形のものに、いわゆるVEO(vulgas extension overload injury)では尺側凸のものに、疲労骨折類似型ではドーム状のものに多発することを確認した。さらに、肘頭および肘頭窩の形態と肘頭過労性骨障害との関連について検討した結果、肘頭が尺側凸型で肘頭窩が外側陥凹型では60%、肘頭が尺側凸型で肘頭窩が肘頭陥凹型では28.6%、肘頭が台形型で肘頭窩が外側陥凹型では22.2%で障害を認めた。以上より、疲労による肘頭障害は、肘頭自身の形態に加え、相対する肘頭窩の形態とのコンビネーションにも大きく影響されることが分かった。(有限要素解析)33歳男性の肘関節を1mm間隔でCTを撮影し、Mark Mentat softwareを使用して、コンピューター上で、3次元にて再構成した。作製した有限要素モデルに外反伸展負荷を与え、肘頭での応力集中点をVon Misesの解析を用い検討した。その結果、台形型では疲労骨折と同様な部位に応力集中を示し、尺側凸型では肘頭尺側先端にのみ応力集中を認め、いわゆるVEO発生部位に一致した。ドーム状の肘頭では肘頭全体に一応な応力集中を示した。有限要素からみた理論的疲労障害発生メカニズムの検討からも、各種疲労障害発現には、肘頭の形態が重要であることを示している。