著者
大野 栄治
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.21-27, 2020 (Released:2020-02-06)
参考文献数
23

【目的】造血器腫瘍患者は固形腫瘍患者に比べて緩和ケア病棟を利用することは少ない.この研究では,緩和ケア病棟に入院した造血器腫瘍患者の臨床的特徴を明らかにした.【方法】われわれの緩和ケア病棟で5年間に死亡した造血器と固形腫瘍患者の,症状の重症度および有病率,最後の治療から死亡までの期間を比較した.【結果】560人のがん患者のうち56人(10%)が造血器腫瘍の患者であった.造血器腫瘍患者は固形腫瘍患者と同じ程度の症状重症度であり,症状では倦怠感(52% vs. 32%; p=0.004)と発熱(45% vs. 21%; p=0.0004)を多く認めていた.治療終了から死亡までの期間の中央値は造血器腫瘍で69.0日,固形腫瘍で94.5日であった(p=0.031).【結論】緩和ケア病棟に入院した造血器腫瘍患者は,固形腫瘍患者と同程度の症状重症度があり,同様のホスピスケアが必要である.

言及状況

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輸血するか、そのまま症状緩和の上看取るのかの判断は予後や診療セッティング、本人家族の意向によるところでしょうか。この辺の考え方は緩和ケア側と血液内科医の間ではかなり違いがあるようなので、議論を深めて行きたいところですね

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