著者
春日 直樹
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.162-177, 1984-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
42

ルソーの疎外・ユートピア論は、人間の対他性を軸にして展開される。対他存在である人間は、ここから生じる決定的問題を社会において解決すべく義務づけられている。それは、比較や差異化がもたらす<自己の表示><他者による評価>の間の不一致という問題である。疎外とは、この問題が社会的評価への一方的依存により封じ込められた解決であり、またユートピアとは、問題が良心への忠誠と「一般意志」への服従とによって克服された解決である。しかしルソーは疎外の克服を確信することも、その具体的な道を示すこともしていない。対他性の問題は、これを存在の一部として背負いつづける人間が刻々己れで体験し解決していくしかない。ただ、彼が「良心」に従い「心と心の交流」を実現させるかぎり、疎外克服の道は他者との間につねに開かれている。そしてこの実践こそ、ルソー理論そのものを対他存在としての「告白」に変えるのである。

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