著者
樋口 明彦
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-18, 2004-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
33
被引用文献数
5

本稿では, ヨーロッパの社会政策において注目されている社会的排除アプローチを考察して, このアプローチが現代社会における新たな不平等の理解にとって有効であることを論じる.最初に, 社会的排除に関する先行研究を検討して, 貧困から社会的排除に至る社会科学上のパラダイム変化, および社会的包摂という新たな政策的フレームワークの導入という2点を指摘する.同時に, 社会的排除アプローチに対する根本的な批判に応じて, 社会的包摂の内在的ジレンマを吟味する.次に, 現在EU諸国が最優先している積極的労働市場政策が抱える内在的ジレンマに焦点を当て, その問題点を検討する.その問題点とは, 失業者に有償労働を強いる政策が彼らをいっそう脆弱にするという逆説的状況を指す.そのうえで, 地域コミュニティにおける社会的ネットワークの構築と文化的アイデンティティへの支援が, そのような経済的側面における破壊的影響力の緩衝材として機能している様子を示す.さらに加えて, 権利要求運動としてのシティズンシップが, あらゆる人々に対する社会的包摂にとって必要であることを指摘する.最後に, 複層的メカニズムとしての社会的包摂こそが, グローバリゼーションが進展して, 人々が日常生活のなかで多様なリスクを抱える不安定な社会において, もっとも有効なフレームワークであることを結論づける.

言及状況

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ALMPの選別的性格は旧来より懸念が指摘されてきた。『就業能力の活性化に基づく包摂は、職業的地位に関するヒエラルヒーを生み出し、逆説的に労働者が抱える生活上のリスクを拡大させてしまう(引用:リンク先)』。[7/] https://t.co/3DU2HZPeZb
こんなんとか。もう古くなってきたけど。 https://t.co/WFTHZ9cwn4
“今日の人々は階級という社会的地位が決定的要因であ った「垂直社会」から,社会の中心にいるか,それとも周縁にいるかが問題となる「水平社会」への移行期に生きている.「重要なのは,もはや『上か下か』ということ ではなく,『内か外か』ということなのである」” https://t.co/nJwcPVF7ca
社会的包摂と社会的排除について、この論文を読んで色々考えさせられた https://t.co/ZwcEMkG6jD

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