著者
山口 崇
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.177-180, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
20

呼吸困難は,がん・非がんに関わらず,緩和ケア対象患者において頻度の高い重要な症状である.国内外の各種診療ガイドラインにおいて,モルヒネをはじめとするオピオイドはがん患者・非がん患者の呼吸困難に対する症状緩和薬物療法の第一選択として推奨されている.しかしながら,これらのガイドライン推奨の根拠とされている臨床研究は試験デザイン上いくつかの懸念があり,堅牢なエビデンスとは言えない現状がある.またモルヒネ以外のオピオイドについては,臨床研究自体がかなり不足しており,モルヒネの代替薬となりうるのかに関する知見は不足している.また重要な課題として,背景疾患によるオピオイドの効果差に関しても十分な知見は積み上げられていない.このような背景から,呼吸困難に対するオピオイドに関する臨床研究を今後もより一層進めていき,臨床現場の道しるべとなるようなエビデンスを創出していくことが重要である.

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