著者
宮本 顕二 宮本 礼子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.186-190, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
8

わが国では終末期の高齢者が経口摂取困難になると経管栄養(胃ろう)や経静脈栄養などの人工栄養を行うことが多い.しかし,筆者らが現地調査したスウェーデン,オランダ,オーストラリアではそれらは行われず,アメリカ,オーストリア,スペインでもまれにしか行われていなかった.これらの国では高齢者が終末期に食べられなくなることは自然なことであり,人工栄養で延命を図ることは倫理的でないと考えられている.
著者
佐竹 將宏 塩谷 隆信 高橋 仁美 菅原 慶勇
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.286-290, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
23

6分間歩行試験(6MWT)は,運動耐容能を評価するフィールド歩行テストのひとつであり,呼吸運動療法には必須の評価項目である.6MWTは2002年ATSからガイドラインが発表され方法の統一が提案された.2014年にはERS/ATSからシステマティック・レビューとテクニカル・スタンダードが発表された.6MWTの一次評価項目は6分間歩行距離(6MWD)である.6MWDの予測式はEnrightらによって報告されている.日本人の予測式は間もなく本学会から報告される予定である.6MWTは,「6分間にできるだけ長い距離を歩くこと」と定義されている.我々は6MWTの運動負荷は定常負荷であること,また携帯型呼気ガス分析装置等を用いて,6MWTの負荷強度は嫌気性代謝閾値以上であることを示唆した.近年,6MWTは多くの呼吸器および循環器疾患の運動耐容能の評価に必要な検査となってきている.6MWTについて,その生理学意義や特性を理解し,さらにどの施設においても標準的な方法で実施できることが大切である.
著者
井元 淳 甲斐 尚仁 真名子 さおり 片山 亜有 新貝 和也 千住 秀明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.385-390, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
38

本研究では,誤嚥性肺炎発症の因子を考察し,その予防や発症後のアプローチの検討を行うため,誤嚥性肺炎患者と非誤嚥性肺炎患者の唾液分泌量と日内リズムについて明らかにすることを目的とした.対象は誤嚥性肺炎で入院となった10名(誤嚥群)と,その他の疾患で入院となった10名(非誤嚥群)の計20名(年齢87.9±7.9歳)であった.方法として唾液分泌量,摂食・嚥下能力,食事の種類,身体活動性などを評価した.その結果,誤嚥群では摂食・嚥下能力とともに身体活動性が低いことで誤嚥性肺炎のリスクが高まっていた.また唾液分泌量の日内リズムでは夜間の唾液分泌量は両群とも低下していた.以上の結果から,誤嚥群では口腔環境の不良による肺炎発症のリスクを高めていることが示唆された.本研究によって,肺炎の発症を予防するためには,唾液分泌量の増量と睡眠前の口腔ケアなどによる口腔環境の改善を図ることの重要性が示された.
著者
垣内 優芳
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.206-209, 2018-05-01 (Released:2018-09-20)
参考文献数
17

【背景と目的】最長発声持続時間が嚥下障害者の自己排痰の可否とどのような関係にあるのかは不明である.本研究の目的は,自己排痰可能群と不可能群の最長発声持続時間を比較検討することである.【対象と方法】対象は入院中のFood Intake LEVEL Scaleが10未満の患者である.基本情報,自己排痰の可否を調査し,対象者を自己排痰可能群と不可能群に分類した.両群において,最長発声持続時間を測定した.【結果】対象者は自己排痰可能群10名,不可能群10名であった.不可能群の最長発声持続時間は3.3秒であり,可能群の8.8秒に比べ有意に低値であった.【考察】不可能群の最長発声持続時間低値は,嚥下機能の低下に関連し,同時に咳嗽メカニズムの第3相(圧縮)不足による咳嗽機能低下を併発していると考えられた.【結論】不可能群の最長発声持続時間は,可能群に比べ有意に低値であり,嚥下障害患者の自己排痰の可否を判断する見極めに最長発声持続時間が有用である可能性が示唆された.
著者
片山 均 三好 誠吾 片山 晋 都築 佐枝 片山 衣子 石井 美喜 山口 和子 水内 泰子 片山 純
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.120-125, 2019-05-31 (Released:2019-06-28)
参考文献数
22

【背景】一般人の肺への健康意識を高めるために肺年齢の普及が進められているが,測定には最大努力呼気が必要である.【目的】安静換気中に測定可能な強制オシレーション法(Forced Oscillation Technique: FOT)を用いて肺年齢を推定する.【対象と方法】2017年4月から2018年5月までにFOTとスパイロメトリーを行った18歳以上の男女114例を後ろ向きに検討した.84症例で肺年齢と実年齢の差(実測肺年齢差)とFOT測定値との相関を求めてFOT測定値から肺年齢の推定式を作成し(開発研究),別の30症例で作成した肺年齢推定式を検証した(検証研究).【結果】開発研究において実測肺年齢差は呼吸リアクタンス,共振周波数および低周波数面積との間に有意な相関を認めた.開発・検証の両研究において,推定肺年齢と実測肺年齢に強い相関を認め,推定値と実測値の一致度も高かった.【結論】FOTを用いて肺年齢を推定出来ることが示唆された.
著者
日野原 重明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.143-148, 2002-12-20 (Released:2018-04-10)
参考文献数
4

チーム医療は,チーム参与者が,医学や看護はサイエンスに基づくアートであるという考え方を認識した上で,患者にはその医療の結果がどういう outcome を示すかを絶えず考えながら,各自の専門性を生かさなければならないことを強調した.そして,EBMとクリニカル・パスがどういう関わり合いをすべきかという点にも触れた.また,ケアは医学的・看護的,そして家庭的ケアに統合されるべきことを述べた.
著者
荒井 秀典
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.206-211, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
18

高齢化している呼吸器疾患患者において認知症,尿失禁,転倒などの老年症候群とともにサルコペニア,フレイルの合併が多くなってきている.特にCOPD患者においては息切れなどによる運動制限や慢性炎症から身体機能が低下しやすく,サルコペニア,フレイルの合併頻度が高い.同時にこれらの合併症はCOPD患者の予後に影響を与える.これらの病態は高齢者において合併しやすいが,COPD患者においてはより若年期からの合併の有無についてスクリーニングを行うとともに適切な予防策を講じることが求められる.すなわち,呼吸器疾患の管理とともに適切な栄養療法,運動療法を継続することが老年期におけるサルコペニア,フレイルの予防につながり,ひいては呼吸器疾患患者の予後の改善につながる.本稿ではサルコペニア,フレイルの概念を概説し,呼吸器疾患患者において問題となりつつあるこれらの病態に対する対処法について述べたい.
著者
富井 啓介
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.53-57, 2015-04-30 (Released:2015-09-11)
参考文献数
10

ネーザルハイフロー(NHF)は患者の一回換気量や呼吸数の影響を受けずFiO2をある程度一定に保ちながら,上下気道の死腔に溜まった呼気ガスを鼻腔内への高流量ガスで洗い出し,死腔換気量を減少させることで,呼吸仕事量を減らすことができる.また口を閉じれば気道をある程度陽圧に保つこともできる.さらに加温加湿器と熱線入り回路で37℃相対湿度100%の混合ガスを供給でき,快適性と気道の粘液線毛クリアランスを維持し排痰を促すことができる.このような利点から高い陽圧を必要としない酸素投与全般,すなわち高圧PEEPを必要としないⅠ型呼吸不全や積極的な換気補助を必要としない軽症のⅡ型呼吸不全などが適応となる.多くの場合NPPVの前段階もしくは離脱期に使用され,会話,飲食,排痰,リハビリなどが可能で一般病棟でも実施できるが,終末期を除いて改善が得られない時はNPPVのすぐ開始できる環境での実施が望ましい.
著者
久保 武
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.180-185, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)

胸部X線写真は肺病変の評価に必須の検査である.評価のポイントは多いが,病態の把握に特に重要な項目として肺容積,肺野透過性,肺血管影がある.肺容積は肺の病態を評価するのに基本的な情報で,通常は横隔膜の位置を指標として判断する.正常の横隔膜の位置には幅があるが,立位で背側第10肋間に重なることが標準的である.肺透過性の異常はほとんどの肺病変で認められる所見だが,境界不明瞭な場合は意外に指摘することが難しい.左右肺の対応する部位を比較しながら読影する習慣をつけると良い.肺血管については,明瞭さ,太さ,数に注意する.立位では正常の肺血管は上肺よりも下肺で太い.肺血管は肺野病変の評価にも利用できる.血管影が局所的に不明瞭化している場合,その部位の肺野に病変があることを疑う.上記のポイントを意識して胸部X線写真を見ることにより,肺の病態についてより的確な情報を得ることができる.
著者
木原 一晃 鎌田 理之 松尾 善美 橋田 剛一 川村 知裕 平田 陽彦 藤村 まゆみ 井口 和江 木島 貴志 奥村 明之進
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.267-271, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
17
被引用文献数
1

早期離床は肺癌術後周術期管理の重要な課題の1つである.私たちは肺癌術後患者の早期離床に関連する因子を,栄養指標を含む術前因子や術中因子から検討した.肺癌手術患者で呼吸リハビリテーションを施行した45例に対し,年齢等の背景因子,術前のGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)や呼吸機能,肺切除割合等と術後病棟歩行自立までの日数を調査した.その結果,術後2日以内に病棟歩行が自立した群(24例)は歩行が遅延した群(21例)よりGNRIが有意に高値(102±5/97±8),肺切除割合が低値(14±8%/22±10%)となった.さらに,多重ロジスティック回帰分析でもGNRIと肺切除割合は術後2日以内病棟歩行自立に影響し,ROC曲線によるカットオフ値はGNRIで99,肺切除割合で21%を示した.以上より,術前栄養状態及び手術侵襲の程度が肺癌術後患者の早期離床に影響することが示された.
著者
村川 勇一 南木 伸基 宮崎 慎二郎 寒川 美由紀 堀 竜馬 中井 友里恵 名出 美紀
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.65-69, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
16

【目的】当院市中肺炎患者における入院時栄養状態がADL能力に及ぼす影響を明らかにすること.【方法】対象は当院へ市中肺炎の診断で入院となり,呼吸リハ介入を行いデータ収集が可能で生存退院された41名とした.調査項目は,年齢,性別,身長,体重,BMI,総入院日数,A-DROP,リハ開始日数,開始・退院時BI,BI効率,TP,Alb,Hb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTをカルテより後方視的に抽出した.【結果】栄養良好群は,不良群と比較して退院時BIも有意に高かった.また退院時BIは,TP,Alb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTと有意な相関関係が認められた.退院時BIに最も影響を及ぼす因子として経口・経腸栄養開始日数が抽出された.【結論】高齢市中肺炎患者において入院時の栄養状態を適切に評価し,早期に栄養介入をしながら呼吸リハを実施する必要がある.
著者
多田 実加 渡邉 陽介 横山 仁志
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.478-481, 2015-12-31 (Released:2016-01-26)
参考文献数
14

長期人工呼吸器管理とステロイドの大量投与により,下肢近位筋優位の著しい筋力低下およびADLの制限をきたしたステロイドミオパチーの1症例について,下肢筋力と歩行能力の回復過程を報告する.症例は難治性気管支喘息の20歳代前半の女性で,第21病日に抜管し離床,上下肢筋力トレーニング,ADLトレーニングを開始した.この時,膝伸展筋力と脚伸展筋力の体重比はそれぞれ 0.05 kgf/kg,0.16 kg/kgであり,重度の低下を認めた.また,立位保持が全介助で歩行不可能であり,Barthel Indexは35点であった.(PSL 60 mg/日).理学療法開始後3週目に歩行器歩行が可能となり(Barthel Index 60点),8週目には膝伸展筋力は 0.12 kgf/kgと著しい低下が残存したものの,脚伸展筋力は 0.91 kg/kgと明らかな改善を認め,9週目に自立歩行を獲得し自宅退院となった(Barthel Index 95点,PSL 4 mg/日).重度の筋力低下を呈したステロイドミオパチー症例の脚伸展筋力は膝伸展筋力に比べ歩行能力と強く関連し,下肢支持力の回復を反映する可能性が示唆された.
著者
照沼 則子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
11

私たちが遭遇する倫理的問題は,①患者(生活者),②医療者との関係,③自分自身の実践での事柄,④所属設置主体や施設・設備,⑤臨床研究など,5つの領域に分類される.臨床においては,「患者」の問題が重要であり,患者の倫理的問題を考えるツールを用いて学習し,ツールを基に観察することからはじめる必要がある.倫理的感受性を高める方法としては,患者の考え方・言葉・態度から,患者への関心を持つきっかけを捉え,受け止め,疑問を持つことにより培われる.一方,2014年度の厚生労働省の基本方針として,「地域包括ケアシステム構築」が挙げられている.チーム医療では,地域でのすまい方を含めた多職種協働が求められている.その際「多職種の信念対立をなくし,患者の望む最良の方策を各専門家の視点で知恵を出しあい検討すること」が,チーム医療を円滑に運用するための心得である.
著者
宇津木 光克 松崎 晋一 蜂巣 克昌 矢冨 正清 久田 剛志 山田 正信 土橋 邦生 丸田 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-77, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
7

チオトロピウムとインダカテロールを併用している慢性閉塞性肺疾患症例を対象として,グルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更による有用性を検討した.対象症例は16例,平均年齢は72.9歳,FEV1は1.31±0.43 L,%FEV1は49.2±12.9%であった.薬剤変更後4週,12週とも肺機能検査では変化を認めなかったが,薬剤変更後12週でのCATは有意に改善した.またデバイスの嗜好性においては,各手技,吸入手技の自信,吸入の継続性に対して,ハンディヘラー®と比較しブリーズヘラー®の嗜好性が高かった.以上のことからチオトロピウムとインダカテロール併用からグルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更は,合剤のメリットであるアドヒアランスの向上だけでなく,QOLの改善効果,さらには吸入デバイスに対する嗜好性から吸入の快適さも向上させうることが示唆された.
著者
神津 玲 藤島 一郎 朝井 政治 俵 祐一 千住 秀明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.93-96, 2007-08-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

摂食・嚥下障害例では誤嚥,特に唾液誤嚥(不顕性誤嚥)が問題になることが少なくない.その予防のために,呼吸理学療法の一手段である体位管理が臨床的に有用であることを経験する.今回,唾液誤嚥に及ぼす体位の影響について検証を行った.重度嚥下障害例を対象に,仰臥位,後傾側臥位,前傾側臥位の各体位での唾液誤嚥の動態を喉頭内視鏡を用いて観察した.その結果,仰臥位および後傾側臥位では,唾液の著明な咽頭貯留,吸気時の喉頭侵入や呼気時の吹き出しを認めたが,前傾側臥位では咽頭貯留,喉頭侵入ともに認めなかった.唾液誤嚥の予防に前傾側臥位の有用性が示され,臨床現場における患者管理の一環として積極的に導入する価値があるものと考えた.
著者
岡島 聡 東本 有司 本田 憲胤 前田 和成 白石 匡 杉谷 竜司 山縣 俊之 西山 理 東田 有智 福田 寛二
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.246-251, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【背景と目的】慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないことや,自身の動作に固執することをしばしば経験する.慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者で前頭葉機能が低下していると報告はあるが,間質性肺炎(以下IP)患者の報告はない.そこで,IP患者を対象に前頭葉機能を検討し,COPD患者やコントロール患者と比較した.【対象と方法】当院で入院や外来通院しているIP患者20名,COPD患者48名,コントロール患者12名を対象とした.前頭葉機能検査はFrontal Assessment Battery(以下FAB)を用いて検討した.【結果】FAB合計点数はコントロール群(16.8±1.3点)と比較して,IP群(14.2±1.7点),COPD群(14.5±1.7点)ともに低値であった.FAB項目のなかでは,類似性,語の流暢性課題がIP群,COPD群ともに低値で,GO/NO-GO課題はCOPD群で低値であった.【結語】COPD患者と同様に,IP患者の前頭葉機能は低下していた.項目別でも,IP患者とCOPD患者の低下パターンは類似していた.
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 上村 佐知子 岩倉 正浩 大倉 和貴 川越 厚良 菅原 慶勇 高橋 仁美
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.26-32, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
32

呼吸筋トレーニング(IMT)は,呼吸リハビリテーションの運動療法において,基盤的な種目の一つである.従来,運動療法に関するIMTのメタアナリシスでは,IMTの併用効果についてある程度評価しているものの,運動耐容能の改善についてはポジティブな評価ではなかった.2011年,Gosselinkらは,2000-2009年に発表された32論文を解析した結果から,COPDにおけるIMTに関する新しいエビデンスを発表した.この報告によれば,IMTにより,最大吸気圧,呼吸筋耐久力,漸増負荷圧,運動耐容能,ボルグスケール,呼吸困難(TDI),健康関連QOL(CRQ)の全ての項目で有意な改善が得られている.従来のIMT機器は,内部のスプリングの長さを変えることにより抵抗を調節するthreshold型であった.最近,バルブ弁口面積をテーパリング方式により変化させるtapered型が開発され,臨床応用が始まっている.近年,IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,1回の実施を30回とする方式で最大吸気圧の増加が報告されている.今後,IMTに関しては,COPD以外の呼吸器疾患における有用性に関して,多施設多数例における臨床研究が待たれる.
著者
田坂 定智
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.66-71, 2015-04-30 (Released:2015-09-11)
参考文献数
18

急性呼吸不全の原因疾患は肺炎,肺血栓塞栓症,喘息発作など多様であるが,中でも急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome; ARDS)は重篤で難治性の病態として知られている.ARDSについては,2012年にベルリン定義が提唱され,①急性発症,②胸部画像上の両側性陰影,③左心不全のみで病態を説明できないこと,④低酸素血症の4項目で診断される.また陽圧換気下での低酸素血症の程度により軽症,中等症,重症に分類されるが,この重症度と予後との関連については明らかになっていない.ARDSでは,一回換気量を低く設定し,呼気終末陽圧により肺胞の虚脱・再開放を防ぐ肺保護戦略が提唱されている.また腹臥位換気や軽症例では非侵襲的陽圧換気(NPPV)の有効性が示されている.近年ARDS患者の生命予後が改善するに伴い,機能的予後が問題となっている.ARDSからの回復後も健康関連QOLは低く,運動機能や認知機能の低下もみられるため,理学療法の介入効果などについて検討が必要である.
著者
上月 正博
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.245-251, 2018-11-05 (Released:2018-11-30)
参考文献数
23

わが国は,平均寿命,高齢化率,高齢化スピードの3点において世界一の超高齢社会である.超高齢社会では重複障害という新たな課題に直面している.その中でも呼吸器機能障害と心臓機能障害のような内部障害の重複や,呼吸器機能障害と脳卒中のような内部障害と肢体不自由の合併が多い.このことは,内部障害リハビリテーションがリハビリテーション関連職種の精通すべき基本領域になったことを意味している.重複障害時代のリハビリテーションを担うには,各臓器に特異的な問題とともに,脳・心・肺・骨関節などの臓器連関を考慮することが必要である.そのためには,呼吸リハビリテーション従事者は循環・腎・呼吸・代謝疾患の病態生理と障害,心電図,呼吸機能検査,血液ガスデータなどの基本的理解や心・腎・肺・脳・骨関節などの臓器連関の理解が必要である.
著者
辻村 康彦 平松 哲夫 小島 英嗣 田平 一行
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.48-53, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
14

【目的】短時間作用性β2刺激薬(SABA)によるアシストユースがCOPD患者の身体活動量に及ぼす影響を検討した.【対象】長時間作用性気管支拡張薬を使用しているにもかかわらず,日常生活において強い呼吸困難と活動制限があり,SABAのアシストユース未経験の男性10例.【方法】身体活動量の測定には加速度センサー付歩数計を用い,吸入前,吸入後4・12週で評価し比較検討した.また,息切れとHRQOLもあわせて評価した.【結果】アシストユースにより身体活動量は有意な向上を認めた.また,息切れやHRQOLも有意な改善を認めた.【考察】動作前にSABAを吸入することで得られる労作時息切れの改善により,身体活動量は向上し,HRQOLも改善したと考えられた.SABAのアシストユースはCOPD治療において考慮されるべき治療方法であることが示唆された.