著者
宮本 顕二 宮本 礼子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.186-190, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
8

わが国では終末期の高齢者が経口摂取困難になると経管栄養(胃ろう)や経静脈栄養などの人工栄養を行うことが多い.しかし,筆者らが現地調査したスウェーデン,オランダ,オーストラリアではそれらは行われず,アメリカ,オーストリア,スペインでもまれにしか行われていなかった.これらの国では高齢者が終末期に食べられなくなることは自然なことであり,人工栄養で延命を図ることは倫理的でないと考えられている.
著者
日野原 重明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.143-148, 2002-12-20 (Released:2018-04-10)
参考文献数
4

チーム医療は,チーム参与者が,医学や看護はサイエンスに基づくアートであるという考え方を認識した上で,患者にはその医療の結果がどういう outcome を示すかを絶えず考えながら,各自の専門性を生かさなければならないことを強調した.そして,EBMとクリニカル・パスがどういう関わり合いをすべきかという点にも触れた.また,ケアは医学的・看護的,そして家庭的ケアに統合されるべきことを述べた.
著者
木原 一晃 鎌田 理之 松尾 善美 橋田 剛一 川村 知裕 平田 陽彦 藤村 まゆみ 井口 和江 木島 貴志 奥村 明之進
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.267-271, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
17
被引用文献数
1

早期離床は肺癌術後周術期管理の重要な課題の1つである.私たちは肺癌術後患者の早期離床に関連する因子を,栄養指標を含む術前因子や術中因子から検討した.肺癌手術患者で呼吸リハビリテーションを施行した45例に対し,年齢等の背景因子,術前のGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)や呼吸機能,肺切除割合等と術後病棟歩行自立までの日数を調査した.その結果,術後2日以内に病棟歩行が自立した群(24例)は歩行が遅延した群(21例)よりGNRIが有意に高値(102±5/97±8),肺切除割合が低値(14±8%/22±10%)となった.さらに,多重ロジスティック回帰分析でもGNRIと肺切除割合は術後2日以内病棟歩行自立に影響し,ROC曲線によるカットオフ値はGNRIで99,肺切除割合で21%を示した.以上より,術前栄養状態及び手術侵襲の程度が肺癌術後患者の早期離床に影響することが示された.
著者
村川 勇一 南木 伸基 宮崎 慎二郎 寒川 美由紀 堀 竜馬 中井 友里恵 名出 美紀
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.65-69, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
16

【目的】当院市中肺炎患者における入院時栄養状態がADL能力に及ぼす影響を明らかにすること.【方法】対象は当院へ市中肺炎の診断で入院となり,呼吸リハ介入を行いデータ収集が可能で生存退院された41名とした.調査項目は,年齢,性別,身長,体重,BMI,総入院日数,A-DROP,リハ開始日数,開始・退院時BI,BI効率,TP,Alb,Hb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTをカルテより後方視的に抽出した.【結果】栄養良好群は,不良群と比較して退院時BIも有意に高かった.また退院時BIは,TP,Alb,経口・経腸栄養開始日数,GNRI,CONUTと有意な相関関係が認められた.退院時BIに最も影響を及ぼす因子として経口・経腸栄養開始日数が抽出された.【結論】高齢市中肺炎患者において入院時の栄養状態を適切に評価し,早期に栄養介入をしながら呼吸リハを実施する必要がある.
著者
多田 実加 渡邉 陽介 横山 仁志
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.478-481, 2015-12-31 (Released:2016-01-26)
参考文献数
14

長期人工呼吸器管理とステロイドの大量投与により,下肢近位筋優位の著しい筋力低下およびADLの制限をきたしたステロイドミオパチーの1症例について,下肢筋力と歩行能力の回復過程を報告する.症例は難治性気管支喘息の20歳代前半の女性で,第21病日に抜管し離床,上下肢筋力トレーニング,ADLトレーニングを開始した.この時,膝伸展筋力と脚伸展筋力の体重比はそれぞれ 0.05 kgf/kg,0.16 kg/kgであり,重度の低下を認めた.また,立位保持が全介助で歩行不可能であり,Barthel Indexは35点であった.(PSL 60 mg/日).理学療法開始後3週目に歩行器歩行が可能となり(Barthel Index 60点),8週目には膝伸展筋力は 0.12 kgf/kgと著しい低下が残存したものの,脚伸展筋力は 0.91 kg/kgと明らかな改善を認め,9週目に自立歩行を獲得し自宅退院となった(Barthel Index 95点,PSL 4 mg/日).重度の筋力低下を呈したステロイドミオパチー症例の脚伸展筋力は膝伸展筋力に比べ歩行能力と強く関連し,下肢支持力の回復を反映する可能性が示唆された.
著者
照沼 則子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
11

私たちが遭遇する倫理的問題は,①患者(生活者),②医療者との関係,③自分自身の実践での事柄,④所属設置主体や施設・設備,⑤臨床研究など,5つの領域に分類される.臨床においては,「患者」の問題が重要であり,患者の倫理的問題を考えるツールを用いて学習し,ツールを基に観察することからはじめる必要がある.倫理的感受性を高める方法としては,患者の考え方・言葉・態度から,患者への関心を持つきっかけを捉え,受け止め,疑問を持つことにより培われる.一方,2014年度の厚生労働省の基本方針として,「地域包括ケアシステム構築」が挙げられている.チーム医療では,地域でのすまい方を含めた多職種協働が求められている.その際「多職種の信念対立をなくし,患者の望む最良の方策を各専門家の視点で知恵を出しあい検討すること」が,チーム医療を円滑に運用するための心得である.
著者
宇津木 光克 松崎 晋一 蜂巣 克昌 矢冨 正清 久田 剛志 山田 正信 土橋 邦生 丸田 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-77, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
7

チオトロピウムとインダカテロールを併用している慢性閉塞性肺疾患症例を対象として,グルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更による有用性を検討した.対象症例は16例,平均年齢は72.9歳,FEV1は1.31±0.43 L,%FEV1は49.2±12.9%であった.薬剤変更後4週,12週とも肺機能検査では変化を認めなかったが,薬剤変更後12週でのCATは有意に改善した.またデバイスの嗜好性においては,各手技,吸入手技の自信,吸入の継続性に対して,ハンディヘラー®と比較しブリーズヘラー®の嗜好性が高かった.以上のことからチオトロピウムとインダカテロール併用からグルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更は,合剤のメリットであるアドヒアランスの向上だけでなく,QOLの改善効果,さらには吸入デバイスに対する嗜好性から吸入の快適さも向上させうることが示唆された.
著者
富井 啓介
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.53-57, 2015-04-30 (Released:2015-09-11)
参考文献数
10

ネーザルハイフロー(NHF)は患者の一回換気量や呼吸数の影響を受けずFiO2をある程度一定に保ちながら,上下気道の死腔に溜まった呼気ガスを鼻腔内への高流量ガスで洗い出し,死腔換気量を減少させることで,呼吸仕事量を減らすことができる.また口を閉じれば気道をある程度陽圧に保つこともできる.さらに加温加湿器と熱線入り回路で37℃相対湿度100%の混合ガスを供給でき,快適性と気道の粘液線毛クリアランスを維持し排痰を促すことができる.このような利点から高い陽圧を必要としない酸素投与全般,すなわち高圧PEEPを必要としないⅠ型呼吸不全や積極的な換気補助を必要としない軽症のⅡ型呼吸不全などが適応となる.多くの場合NPPVの前段階もしくは離脱期に使用され,会話,飲食,排痰,リハビリなどが可能で一般病棟でも実施できるが,終末期を除いて改善が得られない時はNPPVのすぐ開始できる環境での実施が望ましい.
著者
一和多 俊男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.158-162, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

呼吸不全とは,呼吸器系障害により低酸素血症(PaO2≦60 Torr)をきたし,また,時に高二酸化炭素血症(PaCO2>45 Torr)をともなう状態で,生体が正常な機能を営み得ない状態である.一方,呼吸不全を広い概念でとらえると,呼吸器障害による動脈血液ガスの異常に加えて,循環障害,酸素輸送障害や末梢組織での酸素利用障害による組織低酸素も含まれる.呼吸不全は,発症形式により急性呼吸不全・慢性呼吸不全・慢性呼吸不全の急性増悪に分類される.また,病態によりⅠ型呼吸不全(低酸素性呼吸不全;PaO2≦60 Torr,PaCO2≦45 Torr)Ⅱ型呼吸不全(換気不全;PaO2≦60 Torr,PaCO2>45 Torr)に分類され,さらにⅡ型呼吸不全は,肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)の正常な群と開大する群に分類される.一般にⅠ型呼吸不全は,Ⅱ型呼吸不全より予後不良である.
著者
岩川 裕美
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.103-108, 2010-10-31 (Released:2016-09-01)
参考文献数
4

COPD患者の栄養管理は,禁煙・薬物療法・運動療法に加え,体重管理が重要である.病態により,エネルギー代謝の亢進がみられるにもかかわらず,息苦しさから経口摂取量も減少し,うつ状態になりやすい.早期の段階から,患者のライフ・スタイルに応じて食べやすいもの,場合によっては栄養剤の選択,食べ方の指導が必要となる.同時に,経口摂取の重要性,体重測定の必要性の教育も行うことが重要である.
著者
山口 佳寿博 大森 久光
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.59-65, 2012

喫煙に起因する疾患として最も重要なものはCOPDと肺癌である.近年施行された網羅的ゲノム解析(GWAS:genome-wide association study)の結果,両疾患には共通の疾患感受性遺伝子(促進,抑制)が存在することが明らかにされた.これらの事実は,FEV1.0を中心とする肺機能の測定は喫煙関連COPDの診断/管理に不可欠であるばかりではなく,COPDに合併する喫煙関連肺癌の発生を予測する臨床的に重要な指標を求めていることを意味する.しかしながら,肺機能の測定値をそのまま提示しても一般市民あるいは患者の理解を得ることが難しいことが指摘されている.この問題を解決するため,肺機能をわかりやすい年齢に変換して提示する"肺年齢"なる指標が導入された.しかしながら,現在使用されている肺年齢はFEV1.0の正常基準値を与える回帰式にFEV1.0(肺機能因子)と身長(体型因子)を代入し年齢を逆算するものであり,この方法には種々の問題が存在し肺機能の情報を正しく患者に伝達しているとはいいがたい.本稿では肺年齢がなぜ必要であるかの背景(COPDと肺癌の関連),その基礎的概念ならびに正しい評価法について理論的検討を加えた.
著者
中村 康一 板倉 潮人 髙木 聡 小林 和陽 齋藤 浩子 月岡 悦子 山口 貴子 野口 周作 加藤 和久 臼杵 二郎
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.345-348, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
18

栄養失調とサルコペニアを伴う高齢者に対し,運動療法と栄養療法によるマネジメントの必要性が言われている.66歳男性,肺腺癌のため右肺全摘出後,外来通院していた.混合性換気障害と呼吸器症状が進行し,体重減少および身体活動性の低下を認めるようになったが入院を拒否.サルコペニアが疑われ外来で栄養士と看護師が介入し,栄養状態は改善した.しかし自覚症状は改善せず,理学療法士が介入を開始した.4ヶ月間の介入によりAMC(19.9→20.9 cm),MIP(31→68 cmH2O),握力(20→22 kg),CAT(12→9点)と筋力およびCATの改善を認めた.今回,入院が困難なCOPD症例に対し,外来で多職種が介入することで全身状態を改善させ,入院を回避することができた.栄養失調を伴うサルコペニアが疑われるCOPDに対する,外来における栄養および運動療法の有用性が示された一例と考えられる.
著者
永井 厚志
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-31, 2014-04-30 (Released:2015-11-13)
参考文献数
7

本邦では2013年に日本呼吸器学会と日本呼吸ケア・リハビリテーション学会から相次いでCOPD診療のガイドラインが上梓された.COPDの治療・管理にあたっては,多面的な病態像を示すCOPDを捕捉する視点によって提言する診療手順や内容が異なる.国際ガイドラインGOLDは,症状の程度と疾患進展のリスクを指標とし薬剤選択のあり方を示した.一方,スペインのガイドラインではCOPD病型を肺気腫型,慢性気管支炎型,喘息合併型とし,それらの病型を基本にして増悪頻度の多寡で治療方針を示した.また,英国では気管支拡張症に対応するガイドラインのなかでCOPDを取り扱い,カナダでは持続する呼吸困難を軽減する手順書のなかでCOPDを扱っている.一方,わが国のガイドラインは気腫型と非気腫型COPDに病型分類し,治療は呼吸機能や病状を複合的に把握したうえで重症度を決定し,それに応じたステップアップ治療を推奨している.
著者
石川 悠加
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.381-384, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
24

器械による咳介助(mechanical in-exsufflation: MI-E)は,自力の咳を補強するか,咳の代用をする.原理は,気道に陽圧(+40 cmH2O)を加えた後,急速に(0.1~0.2秒ぐらいで)陰圧(-40 cmH2O)にシフトすることにより,気道に呼気流量を生じ,気道分泌物を除去するのを助ける.神経筋疾患や脊髄損傷の咳機能低下だけでなく,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)にも使用報告がある.非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)の気道クリアランスの手段や,気管挿管や気管切開を通しての排痰にも使用される.MI-Eは,2010年に本邦で保険診療が新設され,2013年には本邦で使用認可された新規・更新機種が4種類となり,今後の活用の工夫が期待される.
著者
原 信子 越智 寿美江 柴山 卓夫 多田 敦彦
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.166-170, 2009

<p>肺容量減少術を行って7年が経過する慢性閉塞性肺疾患患者に対し,在宅における運動状況の聞き取り調査を行った.内容は歩行,買い物,下肢筋力トレーニング等であり7年間変化がなかったが,歩行数は当初1日に2万歩程度であったものが,術後3年目から1万歩程度に,7年目には7500歩程度と減少していた.運動の継続には公園での歩行,屋外での趣味,友人との外出,時間的余裕などの要因が有利に働いていたことがうかがわれた.</p>
著者
太田 智奈美 江田 清一郎 折井 恭子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.273-279, 2007-12-25 (Released:2017-04-20)
参考文献数
14

医学の進歩が目覚しいなか,間質性肺炎を代表とする予後不良の呼吸器疾患終末期の呼吸困難は,非常に辛い症状であるにもかかわらず,その緩和に対する適切なガイドラインや,明らかに有効な緩和治療はいまだないのが現状である.モルヒネ持続皮下注射は,あらゆる治療が無効で呼吸困難が進行した間質性肺炎終末期の患者において,呼吸困難を最小限にとどめ,残された時間を個々が望む生命・生活の質を維持するのに有効であった.
著者
森 由弘 井上 亜希子 粟井 一哉 荒川 裕佳子 厚井 文一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.24-30, 2010-06-30 (Released:2016-09-01)
参考文献数
9

間質性肺炎の終末期には合併症や呼吸困難への対応,人工呼吸器装着の可否など多くの問題点を抱えている.最近,NPPVを急性呼吸不全時に挿管までの橋渡しとして一時的に使用したり,終末期呼吸不全に対してNPPVを限度として,慎重な観察下での導入は許容範囲とされつつある.また,終末期の呼吸困難の緩和にモルヒネの有効性が注目されている.今後,終末期医療の決定に関するガイドラインに示された「医療・ケアチーム」による治療方針の決定が望まれる.
著者
赤星 俊樹 吉澤 孝之 岩城 基 村上 正人 高橋 典明 橋本 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.215-219, 2009-12-28 (Released:2016-10-07)
参考文献数
11

COPDにおける終末期の定義は,明確に示されていない.一般に,終末期とは「疾患の進行に伴う症状に対して治療は可能であるが,原疾患に対しては治療による効果が期待できない状態」と定義され,およそ余命6ヵ月と予測される時期である.COPDの終末期では,高度な呼吸困難や運動耐容能の低下がみられ,医学的のみならず社会的問題をも含有することが多い.本稿では,こうした諸問題と終末期医療や緩和ケアの重要性について述べたい.
著者
久保 武
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.180-185, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)

胸部X線写真は肺病変の評価に必須の検査である.評価のポイントは多いが,病態の把握に特に重要な項目として肺容積,肺野透過性,肺血管影がある.肺容積は肺の病態を評価するのに基本的な情報で,通常は横隔膜の位置を指標として判断する.正常の横隔膜の位置には幅があるが,立位で背側第10肋間に重なることが標準的である.肺透過性の異常はほとんどの肺病変で認められる所見だが,境界不明瞭な場合は意外に指摘することが難しい.左右肺の対応する部位を比較しながら読影する習慣をつけると良い.肺血管については,明瞭さ,太さ,数に注意する.立位では正常の肺血管は上肺よりも下肺で太い.肺血管は肺野病変の評価にも利用できる.血管影が局所的に不明瞭化している場合,その部位の肺野に病変があることを疑う.上記のポイントを意識して胸部X線写真を見ることにより,肺の病態についてより的確な情報を得ることができる.