- 著者
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オオニシ タクヤ
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
- 巻号頁・発行日
- pp.324, 2022 (Released:2022-08-30)
世界的な食糧問題、特に動物性タンパク質不足やその生産過程での環境負荷の解決策として、昆虫食が注目されている。本研究では、そのコオロギ養殖の環境的メリットに着目し、安全で安定した大量生産のための飼育システムの設計研究を行った。そこで、3Dプリンタを使用して、切頂八面体の空間充填構造フレームで構成された飼育モジュールを制作し、ヨーロッパイエコオロギを試験体として飼育観察実験を行った。この飼育モジュールにおいてコオロギのスムーズな斜め移動や安定した居住が観察された。また密度の異なった飼育モジュールを制作しコオロギの行動観察実験を行った結果、より目の細かいモジュールでは隠れて安住する様子がみられ、目の粗いモジュールでは、盛んな移動や偶発的な出会い、縄張り争い、コミュニケーション、共存などが観察された。また収穫という作業を考慮した場合、目が粗い方が簡便であることが予想される。このことから、目の細かさの調整によって、コオロギにとっての快適性や産業性の両立が見極められると期待できる。