著者
オオニシ タクヤ 藤澤 忠盛
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.292, 2019 (Released:2019-06-27)

世界人口は爆発的な増加傾向にあり、深刻な食糧危機が危惧されている。特に動物性タンパク質の生産には多くのエネルギーが必要なため、既存の畜産業だけでは解決が困難である。そこで注目されているのが昆虫食である。そこでコオロギのメリットに注目し、その大量生産、安定供給のための飼育システムの設計プロジェクトを立ち上げた。本研究では、既に昆虫を食している東南アジア、特にカンボジア、ベトナム、タイにおけるケーススタディーを通して、昆虫食産業としての可能性を「食べる」側の視点、「生産する」側の視点から俯瞰した。特にタイに存在するコオロギファームの視察を通して、多くの可能性を発見した。それは、小規模かつ安定的な生産が可能であること、道具等が小さく誰でも参加が可能であること、ペストコントロール等が簡単であること、立体的飼育による効率化、臭気問題が無いこと、そして近隣農業との共存が容易であることなどが挙げられる。これらのことから、現在研究を進めているコオロギ養殖システムの技術確立と、その効率化による収穫量の安定が、今後のコオロギ食、ひいては、昆虫食の普及の一助となることが確認された。
著者
大庭 広明 オオニシ タクヤ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.170, 2022 (Released:2022-08-30)

昨今,環境問題や食糧問題の文脈で,昆虫食,そしてコオロギ食が注目されている.そこには未来の地球における食糧問題が存在する背景がある.今後の人口増加に対応するだけの食糧増産を続けていくことは難しく,昆虫を栄養源として効率的に動物性タンパク質を得ることが期待されている.そして,この昆虫食は,宇宙プロジェクトにおいても注目を浴びつつある.今後,宇宙人口が増加していくうえで,宇宙空間における食糧確保や食糧生産が重要となってくるためだ.今日様々な形で実現されている植物工場のような技術は,宇宙への応用も期待されており,宇宙における食糧の自給自足実現へと少しずつ進化している.ただ,この中でも特に事例が少ないのが,動物性タンパク質の生産といえる.特に畜産動物(牛,豚,鶏)の宇宙進出は皆無であり,今後地上で常識化している畜産業の延長としての宇宙進出は,現段階では非現実的であると言わざるを得ない.そんな中,すでに宇宙での飼育実験が多く行われ,かつ地上でも環境に優しいタンパク質源として注目を浴びる昆虫は,今後の宇宙農業の黎明期を支える重要な生物種である.
著者
オオニシ タクヤ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.324, 2022 (Released:2022-08-30)

世界的な食糧問題、特に動物性タンパク質不足やその生産過程での環境負荷の解決策として、昆虫食が注目されている。本研究では、そのコオロギ養殖の環境的メリットに着目し、安全で安定した大量生産のための飼育システムの設計研究を行った。そこで、3Dプリンタを使用して、切頂八面体の空間充填構造フレームで構成された飼育モジュールを制作し、ヨーロッパイエコオロギを試験体として飼育観察実験を行った。この飼育モジュールにおいてコオロギのスムーズな斜め移動や安定した居住が観察された。また密度の異なった飼育モジュールを制作しコオロギの行動観察実験を行った結果、より目の細かいモジュールでは隠れて安住する様子がみられ、目の粗いモジュールでは、盛んな移動や偶発的な出会い、縄張り争い、コミュニケーション、共存などが観察された。また収穫という作業を考慮した場合、目が粗い方が簡便であることが予想される。このことから、目の細かさの調整によって、コオロギにとっての快適性や産業性の両立が見極められると期待できる。