著者
長沼 祥太郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.35-38, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
6

本稿では,理科離れ,すなわち,主に中等教育段階以降,生徒の理科・科学への関心が低下する現象に関する広範な論文をレビューし,実証研究に絞って,どのような研究の種類と手法が用いられてきたのかを批判的に検討した.その結果,1) 近年では,実践研究の報告が,実態把握や調査研究を圧倒している,2) 理科離れが起きているとされる中学生,高校生,およびその前段階の小学生に関してはほぼ偏りなく研究が行われている,3) 調査研究は量的な方法の割合が大きいが,大半は基礎的な方法にとどまっている,4) 実践研究も量的な方法の割合が大きいが,事前の状態の把握が十分でなく,実践の効果が一時的か,それとも長期的かも不明である,5) 実践研究の効果検証が,心理変数に限定されている,という5点が明らかになった.最後に,科学教育研究が,理科離れに対して有効な介入方法を提出するために,今後求められる調査研究及び実践研究の方向性に関して提言を行なった.

言及状況

外部データベース (DOI)

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【論文】長沼(2019, 科教研報告) 日本では「理科離れ」問題にどのようにアプローチしてきたか―研究の種類と方法を中心に―/「理科離れ」に関する141件の研究を批判的に分析。量的研究は基礎的な手法が多い。質的研究は「分厚い」アプローチがない。実践研究は効果検証が弱い。https://t.co/FH57DVNjTV https://t.co/2mdt8vXYPn

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