著者
近藤 一博
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.9-17, 2005 (Released:2005-11-22)
参考文献数
29
被引用文献数
10 11

疲労は,痛みや眠気と並んで非常に重要な生体シグナルであるが,疲労の原因や疲労を感じる機序は,全くと言っていいほど不明である.また,疲労・ストレスによるヘルペスウイルスの再活性化は,良く知られた現象であるが,これまでは短期的なストレスと再活性化の関係が研究されているだけであった.今回我々は,過労死などの原因もなる中・長期的疲労がhuman herpesvirus 6(HHV-6)の再活性化を誘導することを見出した.これは,HHV-6の再活性化誘導因子の解明に役立つだけでなく,疲労の客観的な定量や疲労の機序の研究にも役立つものと考えられた. また,HHV-6の潜伏感染特異的遺伝子の研究によって,HHV-6には潜伏感染と再活性化の間に,潜伏感染に特異的遺伝子および蛋白の発現亢進が見られるにもかかわらず,ウイルス産生の見られない中間状態が存在することを見出した.この中間状態に発現する潜伏感染蛋白に対する血清抗体は,病的な疲労状態である慢性疲労症候群患者の約4割で検出された.これらの結果は,HHV-6が疲労という生物学的現象に深く関わるウイルスであることを示していると考えられる.

言及状況

外部データベース (DOI)

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[科学][生物] PubMedでは英語のはJ Virol. 2005;79:13037-46以降なし。日本語総説のリストを見ると疲労はこれ以降の研究?早く論文発表しないんだろうか?

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#ヘルペスウイルス の #再活性化 近藤一博先生 #HHV6 の #潜伏感染特異的遺伝子 研究 潜伏感染と再活性化の間に特異的遺伝子と蛋白の発現亢進があるのにウイルス産生がない中間状態 その中に発現の #潜伏感染蛋白に対する血清抗体 #慢性疲労症候群 患者の約4割に検出 引用元 https://t.co/SMO0UhHXuW https://t.co/JhQ38VXMIU
@HAM22925450 @seihochu 慢性疲労症候群 ヘルペス で検索したらこんなの出てきました。https://t.co/r3eAbUCkrC 2005年のですが…この事を主治医はいってたのかな、と。ヘルペスは8種類あるそうです。
@Juliozureta https://t.co/FUgLvvT3Nd 私は臨床を行っていない狂人の意見としてツイートさせて頂きます。慢性疲労症候群はCMVの亜種である6・7型の関与が有力と考えております。CMVだけみたいな部分完治はあり得ません。
https://t.co/FUgLvvT3Nd   確かに慢性疲労症候群は人ヘルペス6・7型が有力だけど現実問題として慢性疲労症候群だけの患者って少ないぞ?多くの抗原病(膠原病)と併発している場合が論文を見る限りだけど多い。
https://t.co/FUgLvvT3Nd  慢性疲労症候群、人ヘルペス6型と7型が有力?問題はそれだけじゃありませんけどね。やっぱり漢方・鍼灸でなければ改善した例は見られない。漢方薬は正直8種類全部に効果あると思いますけどね。部分作用ってのはありません。

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