著者
植松 智 審良 静男
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-8, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
29
被引用文献数
8 23

Toll-like receptors(TLRs)は自然免疫における重要な分子で,様々な病原体においてよく保存された構造を認識して自然免疫応答を誘導する.ある種のTLRはウイルス構成成分を認識してI型インターフェロンを誘導することによって抗ウイルス応答を誘導する.TLR2やTLR4が細胞表面においてウイルス構成成分を認識するのに対し,TLR3,TLR7,TLR8,TLR9はエンドソームによく発現している.ファゴサイトーシスによってウイルスやウイルスに感染してアポトーシスを起こした細胞を取り込むと,ウイルスの核酸がファゴソーム内で遊離しこれらのTLRによって認識される.最近,宿主は細胞質内でTLR非依存的に複製するウイルスを認識する機構を持つことが報告された.今回,我々は自然免疫によるウイルス認識とシグナル伝達経路について概説する.

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