著者
松浦 祐介 川越 俊典 土岐 尚之 蜂須賀 徹 柏村 正道
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.181-193, 2009-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
3 3

細胞診による子宮頸がん検診はその有効性を証明する十分な証拠があるにもかかわらず. 日本のがん検診受診率は他の先進諸国と比較して格段に低い. 順調に低下してきた死亡率もここ数年上昇傾向にある. 子宮頸癌の発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)が関与していることが明らかであり, 性意識の変革や性行動の多様化により若年層で子宮頸癌の発症率が特に増加していることは大きな社会的問題である. 細胞診による子宮がん検診には約10%の偽陰性率がありなかでも頸部腺癌症例に偽陰性が多い. 細胞診のみによるがん検診には限界があるため, わが国でもがん検診の精度を上げる目的で液状検体(liquid-based cytology: LBC)を使用したり, 細胞診検査にHPV検査を導入する動きがある. 細胞診によるがん検診は様々な問題を抱えているが, 子宮頸癌による死亡率を減らすためには国・地方自治体・医療機関・企業・教育の現場などが現状を正確に理解し, それぞれが課題に対して積極的に取り組む姿勢が必要である.

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