著者
山本 秀樹 隈村 大誠 長野 千佳 竹内 扶美子 藤井 槙子 田頭 素行 大竹 康之
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.331-338, 2008-05-20 (Released:2008-06-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

ビール製造工程から廃棄されるホップ苞部分にはポリフェノール類(カテキン,プロシアニジン類など)が豊富に含まれている.前報では,ホップ苞部分にカテキン類(カテキン,エピカテキン)が重合したプロシアニジン類(プロシアニジンB1, B2)が含まれていることを明らかにした.本研究ではホップ苞部分に含まれるポリフェノール類を純溶媒および混合溶媒により抽出分離を行い,それぞれ溶媒に対する溶解性の評価を溶媒と溶質の溶解度パラメータ(Solubility parameter)を用いて行った.実験で使用した溶媒には,水,メタノール,エタノール,1-プロパノール,アセトンおよびそれぞれの水溶液を用いた.純溶媒を用いた場合,ホップ苞部分からの総ポリフェノールの抽出量は水>メタノール>アセトン>エタノール>1-プロパノールであった.一方,混合溶媒(メタノール–水,エタノール–水,アセトン–水)を用いてポリフェノールを抽出した場合,すべての系で純溶媒より混合溶媒の方が高い抽出量を示した.エタノール水溶液を用いた場合,ポリフェノールの抽出量は最も高く,エタノールの体積分率40%(20 mol%)付近で最大抽出量を示した.本研究では,ポリフェノール類の各溶媒への溶解性の評価を行うために,溶媒および溶質の溶解度パラメータを用いた.溶媒および溶質のHildebrandの溶解度パラメータ(δH)の計算には,Fdors法を用いた.Hansenの定義する溶解度パラメータ(δt, δd, δp, δh)の計算にはvan Klevelen and Hoftyzer法を用いた.実験結果より,純溶媒の溶解性は,溶媒と溶質のHildebrandの溶解度パラメータの差が小さいほど高い傾向を示した.一方,混合溶媒に対する溶解性はHansen溶解度パラメータを3次元プロットした図中で,溶質と混合溶媒の溶解度パラメータの値が近いほど抽出量は多いことを明らかにした.さらに,2成分系の混合溶媒の場合,Hansen溶解度パラメータのそれぞれの寄与率(fd, fp, fh)を三角線図上にプロットすることで,線図上から抽出に最適な溶媒組成(体積比)を予測できることを明らかにした.

言及状況

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@VicViperBP_827z ホップに含有されている量がそもそも少ないと思われるので、抽出された成分総量は大したこと無さそうですが、手段によってはメチャクチャ高額薬品になりそうな予感ですねw ビール精製に利用したホップの廃棄成分から抽出とか出来ればコストも押さえられそうです https://t.co/MOSV1uoa61

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