- 著者
-
村上 隆
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 化学と教育 (ISSN:03862151)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.5, pp.242-243, 2016-05-20 (Released:2016-12-27)
- 参考文献数
- 6
三角縁神獣鏡は,古代日本の最大の謎の一つである。邪馬台国の女王卑弥呼が,中国魏の皇帝から下賜された鏡100枚にあたるとする説もあるが,すでに500枚を超える出土がある。いつ,どこで,誰がどうやって作ったかもわからない謎の鏡なのである。三角縁神獣鏡に対するこれまでの研究は,裏面の文様の研究が主であり,鏡本来の機能を考察するには至っていなかった。古代鏡に対する材料科学的研究の一環として,三次元デジタイザで形状を計測し,さらに成分調整をした金属粉体を用いた3Dプリンタによって三角縁神獣鏡を精確に復原した。そして,その鏡面が太陽光によって「魔鏡現象」を起こすことを実証することができた。