著者
中田 理恵子 井上 裕康
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.215, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】生活習慣病の予防において、適度な習慣的運動の重要性が注目されているが、食事摂取とのバランスや相互作用については不明な部分が多く、分子レベルでの作用機構の解明は十分ではない。我々は、赤ワインに含まれるポリフェノール、レスベラトロールが生活習慣病の薬剤標的である核内受容体PPARを活性化すること、レスベラトロールを摂取したマウスで運動持久力が改善することを見出している。本研究では、レスベラトロール摂取によるPPARαを介した運動持久力改善効果の作用機構を検討するとともに、習慣的運動の効果についての検討を行った。【方法】PPARα欠損型(KO)および対照野生型(WT)雄性マウス(129系)に、レスベラトロール(0,0.4%)添加した普通食または高脂肪食を4週間摂取させた。期間中、週5日の運動を負荷する群としない群に分けて飼育を行った。飼育開始時と4週目に、トレッドミルを用いて運動持久力を測定した。飼育終了後には肝臓と筋肉を採取し、各種遺伝子の相対的発現量の変化を解析した。【結果】普通食群のWTでは、レスベラトロール摂取により肝臓でのPPARα依存的な遺伝子の発現誘導が認められた。習慣的な運動負荷を併用したWTでは、筋肉でのPPAR応答遺伝子群や持久力に関わる遺伝子の発現誘導が見られ、運動持久力の向上効果が認められた。しかしながら、KOあるいは高脂肪食を負荷したWTでは、この変化が消失した。以上より、レスベラトロールによる運動持久力改善効果にはPPARα活性化が寄与すること、筋肉におけるPPAR応答遺伝子の発現誘導には、レスベラトロールの摂取に加えて習慣的な運動負荷が必要で、その結果が運動持久力の向上につながること、運動持久力の改善には肝臓と筋肉の相互作用が関与する可能性があることが明らかとなった。

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