著者
今福 道夫 大谷 剛 竹内 剛
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-10, 2000-12-20 (Released:2017-08-10)
参考文献数
29

蝶の翅の色彩パターンの理解のためには,雌雄間での行動的相互交渉の観察が重要である.しかし,翅の色彩にしばしば著しい性的二型を示すゼフィルス類については,そのような観察は非常に少ない.そこで,性的二型の種であるミドリシジミNeozephyrus japonicusの行動を兵庫県三田市の「人と自然の博物館」にある縦12m,横8m,高さ4mの金網のケージのなかで1999年6月11日から13日にかけて観察した.ペイントマーカーで個体識別した♂12頭と♀10頭を放したところ,2回の求愛行動と1回の交尾が観察された.交尾に先立ち,♂は♀に側面から触角を広げて接近し,次第に平行に並ぶように向きをかえて,腹端を♀の腹端に近づけた.交尾は容易に成功せず,しばしば上記の行動を繰り返したり,短い飛翔を行ったが,夕方の6時26分に交尾に成功した.交尾時間は約3時間であった.交尾後♀を食草と共に保ったが,産卵は確認できなかった.後にこの♀の腹部を解剖したところ,大きな精胞が1つ見つかった.捕獲下でのゼフィルス類の交尾の誘導の意味について議論した.

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