著者
亘 悠哉
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.27-38, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
91
被引用文献数
2

外来種の侵入による生物多様性・生態系機能の低下,および経済被害はきわめて甚大で,各地域特有の自然や暮らしを脅かす切実な問題となっている.こうした問題を解決するために,各地で外来種駆除が実施されており,近年では根絶成功例や在来種の回復など,駆除による対策の有効性が成果として現れてきている.一方で,たとえ外来種を減少させることができたとしても,インパクトを受けていた生態系が必ずしも回復するとは限らず,時には状況がさらに悪化してしまう場合もある.このような知見は個々の論文で報告されてきたものの,全体像が整理され示されたことはこれまでになかった.本総説では,このような知見を整理し,外来哺乳類の影響の環境依存性や非線形性,ヒステリシス,外来種間の相互作用などを,意図しない現象の理由として挙げ,そこには,食性のスイッチングやアリー効果,外来種の侵入と生息地改変の複合効果,メソプレデターリリースなどのプロセスが関わりうることを紹介した.また,それぞれのプロセスに応じた対処法として,在来種の回復の評価プロセスの導入や生息地管理,他の生物の管理などをリストアップした.以上のような対処法が取り入れられた総合的な外来種対策の実践例は,近年報告が増えはじめてきた段階である.このような個々の実践例を積み重ね,対処法の有効性を検証していくことは,個々の地域の問題を解決するだけでなく,さらなる実践例を生み出す上でも重要な役割を果たしていくであろう.

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たとえ外来種を減少させることができたとしても,インパクトを受けていた生態系が必ずしも回復するとは限らず,時には状況がさらに悪化してしまう場合もある J-STAGE Articles - 外来種を減らせても生態系が回復しないとき:意図せぬ結果に潜むプロセスと対処法を整理する https://t.co/s3d9f74PpM
・外来種駆除を行っても生態系の回復が見られない場合がる(影響が小さい、影響が間接的/状況による、長期化の影響、外来種間の相互作用) ・在来種回復を評価に組み込みモニタリング ・在来種の域内保全により外来種の影響を低減 https://t.co/0UrtDNeGiE #外来種論文
久しぶりに日本語の論文を読みふけってしまった。哺乳類の論文だけど、外来種に興味のある人には一読の価値があると思う。 http://t.co/gqiyhoGP
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編集者: Iya448
2012-04-02 15:40:51 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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