- 著者
-
姉崎 智子
坂庭 浩之
- 出版者
- 日本哺乳類学会
- 雑誌
- 哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.59-63, 2011 (Released:2011-07-27)
- 参考文献数
- 8
群馬県において1999年から2010年の間に回収された30体のアナグマの剖検を行った結果,29体のアナグマの膵臓に腫瘤の形成と多数の線虫の寄生を確認した(感染率96.7%).腫瘤の大きさは1.0~6.8 cmと幅があり,中には複数の腫瘤が集まり1つのかたまりを形成しているものも確認された.寄生虫はアナグマ1頭あたり3~266匹が確認され,虫体の形態的特徴を観察した結果,Tetragomphius melisと同定された.T. melisに寄生されたアナグマに削痩などの傾向は認められないことから,線虫による宿主への影響は少ないものと推察された.本稿ではそれらの概要について報告した.