著者
岡山 将也 谷亀 高広 大和 政秀 岩瀬 剛二
出版者
日本菌学会
巻号頁・発行日
pp.90, 2008 (Released:2008-07-21)

ラン科植物の多くが美しい独特の花を咲かせ、多くの人々を魅了してきた。しかし近年、乱獲や開発時の生育地の破壊等により絶滅の危惧に瀕している種が増加しており、生態の解明と保全方法の開発が早急に求められている。ラン科植物の種子は非常に小さく、貯蔵養分をほとんど蓄えていないため、発芽や初期の生育のための栄養分は完全に菌根菌に依存している。本研究は身近な野生ランであるシュンラン(Cymbidium goerinngii)とネジバナ(Spiranthes sinensis)を対象とし、根に共生する菌根菌の多様性を明らかにし、保全のための基礎的データの取得を目的としたものである。シュンランについては栽培品種も実験に用いた。顕微鏡で観察しラン科植物の根にコイル状菌糸(ペロトン)の感染を確認した。根を表面殺菌してガラス棒で潰し、遊離したペロトンを培地上に播き、伸長してきた菌糸をとり菌株を得、rDNAのITS領域の塩基配列解析により菌根菌の種を同定した。その結果、シュンランの菌根菌としてPeniophora sp.が、ネジバナはSistotrema sp.、Epulorhiza sp.、Bjerkandera sp.および Peniophora sp.が同定された。栽培品のシュンランからはTulasnella sp.が同定された。ラン科植物の菌根菌としてPeniophora属菌の報告は本研究が初めてである。これまでネジバナの菌根菌はThanatephorus cucumeris、Ceratobasidium cornigerum、Tulasnella calosporaであると報告されていたが、Peniophora属菌とSistotrema属菌の報告は本研究が初めてである。本研究の結果はシュンランとネジバナにはかなり多様な木材腐朽菌や土壌菌が共生していることを示し、これまで考えられていたようないわゆる’’Rhizoctonia’’に限られたものではないということが明らかになった。また、これらの菌根菌は木材や落葉を分解して得た栄養をランに供給していることを示唆しており、このようなラン科植物の保全のためには、むやみに落葉や倒木を除去しないことが重要であると考えられる。

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ネジバナ。 2018年6月:千葉市。 ここのところの強風でご近所のやつ、撮れませんでした! 仕方ないので背の低いやつを見つけて撮りました。。 身近な植物ですが、ラン科です。 ネジバナも部分的ではあると思いますが菌従属栄養植物だそうです。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/msj7abst/52/0/52_0_90/_article/-char/ja ...

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