著者
工藤 伸一 長澤 栄史
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.51, 2009 (Released:2009-10-30)

青森県内のブナ林および草地で採集された2種類のきのこを調査した結果, いずれもヌメリガサ科アカヤマタケ属(Hygrocybe)に所属する新種と分かったのでここに報告する. 1)Hygrocybe aurantiaca (sp. nov., nom. prov.)-ダイダイヤマタケ(新種,新称):子実体はブナの樹下に少数群生する. 全体橙色をし, 傘は中央が深くくぼみ, 表面は湿っているとき多少粘性あるが乾くとフェルト状. 胞子は楕円形~涙滴形, 9-11×6.5-7μm, 平滑, 非アミロイド. 担子器は棍棒形, 51-67×7-10μm, 2胞子性. ひだ実質は錯綜型で, 菌糸はクランプを欠き, 幅約5μm. 傘表皮は毛状被, 菌糸は幅4-5μm. 本種は森林生で, 生態的にブナとの関係が推察される. Arnolds(1990)らの分類ではCuphohyllus亜属に所属し, 子実体が全体に橙色, 担子器が2胞子性, 胞子が大形などの特徴をもつ. 色彩的にはハダイロガサHygrocybe pratensis(= Camarophyllus pratensis)に類似するが, 同種は草原生で子実体がより淡色である. また, 担子器が4胞子性で, 胞子が小形である. 2)Hygrocybe violaceolamellata (sp. nov., nom. prov.)-ウラムラサキヤマタケ(新種,新称):子実体は草地に多数群生する. 傘は中央が深くくぼみ, はじめ橙赤色であるが成熟すると退色して黄土褐色となり, 表面は微細な毛に被われる. ひだは紫色を帯びる. 胞子は卵形~楕円形, 8.5-11(-12.5)×5.2-6.5(-7)μm. 担子器は棍棒形, 35-60×6-10μm, 4胞子性. ひだ実質は類並列型, 菌糸は短い細胞(30-90×6-35μm)からなり, クランプをもつ. 傘表皮の菌糸は匍匐状, 褐色, 幅10-18μm. Arnolds(1990)らの分類ではPseudohygrocybe亜属に所属する. 傘が中央で深くくぼみ, 橙赤色から退色して黄土褐色となり, ひだが紫色を帯びることが特徴. 北アメリカのHygrocybe purpureofolia(= Hygrophorus purpureofolius)に類似するが, 同種では傘が中央で深くくぼまず, 退色しても黄土褐色にならない. また, 胞子の大きさが7-11×4-4.5μmとより狭幅である.

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@kinokobitonet オトメノカサなんかは環境によって色づくものもあるそうですね。 あと、ハダイロガサの類似種としてダイダイヤマタケが知られていて、それと混同されてる可能性もあるかもしれません。 小型のアカヤマタケ属もなかなかの沼ですね。。。

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