著者
滝川 一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.991-997, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年,薬の副作用は社会的にも注目されており,中でも肝障害は劇症化して死に至る場合もある.薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)の診断には薬物投与と肝障害の推移との関連と除外診断が重要であるが,診断基準としては,日本消化器関連学会週間(JDDW-Japan)2004のワークショップで提案されたものが現在広く用いられている.これは,診断時のALT値とALP値から肝障害のタイプ分類をした後,8項目のスコアを計算し,総スコア5点以上については可能性が高い,3,4点については可能性あり,2点以下については可能性が低いとの判定を行うものである.薬物性肝障害の治療は,肝細胞障害型ではグリチルリチン注射薬やウルソデオキシコール酸経口投与が行われることが多いが,きちんとしたエビデンスはないのが現状である.胆汁うっ滞型では,ウルソデオキシコール酸,プレドニンゾロン,フェノバルビタールが投与される.劇症化例では血液透析と持続的血液濾過透析を行い,無効の場合は肝移植が唯一の救命法になる.

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薬物性肝障害は、肝細胞障害型なら中止して8日以内、遅くとも30日以内に50%以上の減少をみるはずで、胆汁鬱滞型でも180日以内に50%以上の減少をみるはずと(薬物性肝障害らしさの加点)。7日目の段階だとウイルス性も残るし鑑別しきれない(ウイルス性のスクリーニングはしてる) https://t.co/KmXI8X6H06
(参考)薬剤性肝障害の診断と治療 https://t.co/RevDiPPE8D

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