著者
酒井 大輔
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_185-1_207, 2016 (Released:2019-06-10)
参考文献数
67

大嶽秀夫の政治学の特徴について, 従来の日本政治学史研究では, ①多元主義, ②実証主義的・自然科学的な方法, ③戦後政治学と大きく相違するもの, として理解されてきた。また, 彼の方法の時間的変化を捉えていないなど, 一面的であった。しかし1980年代以降の大嶽の変化は, ①~③のイメージの再考を迫るものである。本稿は, 彼の80年代以降の実証研究の内容にも立ち入って, 彼の方法や理論枠組の変化を検証する。大嶽は既に1970年代当初から, 影響力の遮蔽性やパースペクティブの概念により, 多元主義の弱点の克服を試みていた。そして80年代には, イデオロギー対立の枠組により, 構造的対立や政治潮流のサイクルをその分析の中心とした。こうした変化は, 多元主義の枠組からの移行であるとともに, 政策過程分析に思想史的方法を導入するなど, 戦後政治学の方法を継承するものであった。

言及状況

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『年報政治学』2016年I号がJ-STAGEで公開されたんですね。 私の最初の論文「多元主義からイデオロギー対立へ――大嶽秀夫の政治学とその変容」も載ってます。 https://t.co/KRT6gOceA1

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