- 著者
-
佐藤 睦子
- 出版者
- 日本神経心理学会
- 雑誌
- 神経心理学 (ISSN:09111085)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.2-9, 2021-03-25 (Released:2021-04-23)
- 参考文献数
- 19
日本神経心理学会誕生の経緯を紹介しつつ「書く」ことの神経心理学的変遷について述べた.かつて書字障害は手書きの症状を示したが,その後,「書く」という行為形態はタイプライターキーボード入力やスマートフォン入力などへと変遷し,それらの症状も散見されるようになった.本邦のタイピングではローマ字変換が用いられる一方,スマートフォンではローマ字変換不要のフリック入力が用いられることが多い.これらは別々に障害されうる機能であり,自験例を紹介して発現機序について論じた.本学会は神経心理学懇話会として1978年に誕生した.今後も日々「ふしぎ」を感じ「なるほど!」と納得する神経心理学の醍醐味を会員と共に分かち合いたい.