17 0 0 0 OA 失語症のみかた

著者
佐藤 睦子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.194-198, 2020-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
22

失語症は, それまでに獲得されていた言語機能が脳損傷によって何らかの程度に障害された状態である。口頭言語だけではなく文字言語や内言語にも影響が及び, コミュニケーションに支障をきたすため, その対応に際しては多面的な捉え方が必要である。コミュニケーション場面における支援では, 失語症の本人はもちろんのこと関係者に対しても情報提供をすることが必要であり, 非言語的側面にも配慮するべきである。

4 0 0 0 OA 失語 : 書字面

著者
佐藤 睦子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.198-204, 2011-06-30 (Released:2012-07-01)
参考文献数
5

文字の読み書き機能は口頭言語の獲得と密接に関わっている。そのため,「聴く」・「話す」・「読む」・「書く」のすべての言語様式が何らかの機能低下をきたす失語症の場合,書字の症状には書字機能自体の問題のみならず語想起障害など他の言語様式の困難さが反映されることが少なくない。書字の脳内機構を論じた大槻 (2006) によれば,書字達成には左中前頭回,左頭頂葉 (上頭頂小葉,角回) ,左側頭葉後下部がさまざまなレベルで関与している。これらの領域は失語症をもたらす Broca 野や Wernicke 野に隣接していることから,失語症例で書字障害をきたすのは必然である。本論では,失語症におけるさまざまな書字障害の実例を提示した。
著者
佐藤 睦子
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.2-9, 2021-03-25 (Released:2021-04-23)
参考文献数
19

日本神経心理学会誕生の経緯を紹介しつつ「書く」ことの神経心理学的変遷について述べた.かつて書字障害は手書きの症状を示したが,その後,「書く」という行為形態はタイプライターキーボード入力やスマートフォン入力などへと変遷し,それらの症状も散見されるようになった.本邦のタイピングではローマ字変換が用いられる一方,スマートフォンではローマ字変換不要のフリック入力が用いられることが多い.これらは別々に障害されうる機能であり,自験例を紹介して発現機序について論じた.本学会は神経心理学懇話会として1978年に誕生した.今後も日々「ふしぎ」を感じ「なるほど!」と納得する神経心理学の醍醐味を会員と共に分かち合いたい.
著者
中野 明子 中島 健二 小林 恒三郎 塚原 ユキ 佐藤 睦子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.351-357, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

Disorders of speech and other mentalfunctions in eight patients with left thalamic hematoma were examined, both in their acute and chronic stage. The examinations in the acuts stage revealed a decrease of vigilance in 7 cases, fatiguability in 6 cases, a paucity of spontaneous speech in 6 cases and small vocal volume in 5 cases. In addition, 6 out of cases exhibited some speech disorders, inluding paraphasia, word-finding difficulties, circumlocution. The other two cases showed memory dis turbance and / or disorientation. Fluency, repetition and comprehension were well preserved in all cases. And, in the chronic stage, disor ders of speech and other mental functions almos disappeared in 7 cases out of the 8.    Those defects were not considered as being aphasia, but as a lack of activation of higher mental functions in the dominant hemisphere.