著者
山田 俊治
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.40-51, 1984-12-10 (Released:2017-08-01)

作家が文壇という関係構造の内で認知される仕方には、作品それ自身のインパクトの他にも、様々な要因が考えられるであろう。この論稿では、有島武郎の文壇登場時の問題として、「平凡人の手紙」が引き起した論争を、当時の文学情況を踏まえ、文献を通して考察してみた。とりわけ、その論争が批評の方法をめぐる論議へと発展していく点に注目し、大正六年前後の批評観の諸相を点検して、批評が自立した営為として思考されるようになる過程の一端にも触れた。このことで、論争を有島の個人史から把握するのではなく、彼を受け入れた側の集団的な幻想の問題として措定できたのではないかと思う。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (2 users, 2 posts, 3 favorites)

山田俊治「『平凡人の手紙』の波紋 : 大正期文芸批評論の展開」『日本文学』33 (12)、1984年。有島が大正6年に発表した小説「平凡人の手紙」をきっかけとして文壇に起こった(文芸)批評の理想的なあり方をめぐる議論に注目した論稿。https://t.co/4byDGR80x9 https://t.co/6DLv4gLYli

収集済み URL リスト