著者
斎藤 英喜
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.2-11, 2008-05-10 (Released:2017-08-01)

宣長の「物のあはれ」説は、近代の<源氏的なもの>を作り出した重要な言説である。しかし、その源氏注釈は、『古事記伝』における「ムスヒ神学」と密接に繋がっていた。そのとき「物のあはれ」説は、中世以来の神道言説と源氏注釈の相関関係の系譜のなかに位置づけなおすことが必要となる。<源氏的なもの>に内在する<非源氏的なもの>の系譜を明らかにした。

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芋蔓中。 https://t.co/sFYXqY65Ht 「蛍」巻の光源氏と玉鬘とのあいだで繰り広げられた、いわゆる物語論から作者の物語観を読み取ろうとした本居宣長の手法が、登場人物の発言内容と作者の思想とを短絡的に結びつける近代的な文学観に収束することは、あらためて指摘するまでもないだろう。

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