- 著者
-
西口 光一
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.153, pp.8-24, 2012 (Released:2017-02-17)
- 参考文献数
- 25
『日本語教育』の1号から最新号までを概観すると,大きく3つの時期に分けることができる。第1期(1号から70号まで)の前期は日本語教育学の草創・確立期で,伝統的な日本語教育の方法の確立と確認に貢献する論文が多数を占めている。後期には第2期の教育方法の変化の予兆となる研究が発表されている。そして,第2期(71号から125号)初期の73号(1991)ではコミュニケーション中心の教育方法が採り上げられ,伝統的アプローチとの対比で熱気を帯びた議論が展開された。しかしながら,それ以降は,そうした日本語の習得と指導の原理に関わる議論は続かなかった。また,第2期は日本語教育に関連した日本語学や第二言語習得研究の論文が隆盛を極めた時期であった。第3期(126号から151号)に入ると,2つの特集で日本語教育研究の今後の方向が提案された。最後に,日本語教育研究が実りあるものとなるためには,日本語の習得と指導の原理を追求し洗練していく姿勢が重要であることを指摘した。