- 著者
-
松下 光宏
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.166, pp.31-46, 2017 (Released:2019-04-26)
- 参考文献数
- 12
接続辞「ものの」はこれまで「PもののQ」のPとQの事態の特徴や両者の関係でとらえた意味や用法の説明が中心であった。本稿では,「PもののQ」文より1つ前の文・節との連接という観点から,「PもののQ」の使用文脈の特徴と「Pものの」の役割を論じる。さらに,「PもののQ」を用いる際の文法上の必要条件についても述べる。その特徴は次のとおりである。 ・「PもののQ」は直前の文・節がPとは連接せずQと連接し,Qが直前の文・節と同じ主題について事態を述べるという文脈でよく用いられる。「Pものの」は直前の文・節とQが表す事態について,その文脈の流れには沿わないPという事態も存在することを注釈として表す。 ・「PもののQ」はPの主題がQの主題と同じものか,Qの主題に従属するもの(Qの主題の部分,Qの主題の行為,Qの主題の程度や方法など)という条件を持つ。