- 著者
-
岡本 宏明
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.106, no.2, pp.177-187, 2009 (Released:2009-02-05)
- 参考文献数
- 54
- 被引用文献数
-
2
E型肝炎はアジア·アフリカの流行地域に限らず,先進国を含め広く世界各地で発生している.わが国でも3型や4型の土着HEV株による散発性E型肝炎は古くからあったが,今世紀に入ってその存在が認識された.国内の飼育ブタでHEV感染が蔓延している事実が明らかになるとともに,ブタや野生動物の肉·内臓摂食後の発症事例や劇症肝炎による死亡例の存在もあって,E型肝炎がにわかに注目を集め,診断や疫学に関する研究が急速に進んだ.その結果,本症における動物由来感染(zoonosis)の重要性が,わが国において,世界に先駆けて認知された.加えて,効率的な感染培養系も確立され,HEVのウイルス学も急速に進展しつつある.