著者
大島 忠之 三輪 洋人
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.327-334, 2009 (Released:2009-03-05)
参考文献数
36
被引用文献数
1

内視鏡的に食道粘膜に異常を認めないにもかかわらず逆流症状が出現する非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease; NERD)は逆流症状を訴える患者の60∼70%を占め,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の奏効率は50%と逆流性食道炎患者に対する効果とくらべて低率である.近年NERDは逆流性食道炎の軽症型ではなく,異なる病態と考えられ,食道の酸や圧に対する知覚過敏やタイトジャンクションの破綻,侵害受容体の発現亢進,食道運動·収縮異常,心理的因子などの関与が指摘されている.治療は,個々の症例において他疾患の除外,あるいはオーバーラップを考慮しながら酸分泌抑制薬,消化管運動機能改善薬,抗不安薬,抗うつ薬などの薬剤を選択する必要がある.

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