- 著者
-
鹿又 伸夫
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.251-264, 2004-09-30 (Released:2008-12-22)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
-
1
本稿で提示するロジスティック回帰分析では、独立変数として、時間の経過にかんする変数、従属変数(本人の階層)と同一カテゴリーにかんする父階層のダミー変数、そしてこれらの交互作用変数を投入する。この分析方法によって、移動表から計算される対数オッズ比に相当する移動機会格差(地位継承の強さ)を回帰係数としてえられ、またその機会格差の時間的変化も分析できる。SSM調査データをもちいて世代間移動(父階層×現職階層)を階層別に分析した。その結果、移動機会格差は、6階層分類のうち3階層で年齢が高まるにつれて低下し、1階層で調査時点が後になるほど減少していた一方で、2階層は時間的変化をしめさなかった。さらに、回帰係数を利用して計算した社会全体としての機会格差指標は、1955年から1965年にかけて機会格差が急激に減少し、1965年以降は新しいコーホートほど格差が緩やかに減少してきたことをしめした。