著者
鈴木 豊史 鈴木 直人 金沢 貴憲
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.61-69, 2020 (Released:2020-02-06)
参考文献数
30

血液-脳関門(BBB)は,全身投与後の薬物を脳に送達する際の主要な障壁である。中枢神経疾患に対する治療薬の創薬開発は,薬物を脳に選択的かつ効率的に送達する技術の開発が律速であるため,他の疾患領域と比べ特に困難を極めている。鼻腔内経路は,経口および非経口経路を超えるいくつかの利点を有する。なかでも経鼻投与された薬物は,BBBを迂回することができ,主に嗅覚および三叉神経経路に沿った輸送を介してさまざまな脳領域に分布する。そのため,鼻腔内経路は中枢神経疾患に対する治療薬を脳に直接送達できる非侵襲的で簡便な投与経路として注目され,ナノシステムの利用により近年脳に薬物を標的化できる可能性が示されている。本総説では,鼻腔内からの薬物吸収性,鼻から脳への薬物送達に関与する輸送機構と鼻腔内薬物送達に利用されるナノシステムの役割について,我々の最近の知見を交えて概説したい。

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https://t.co/rJY0Ht3h1o https://t.co/NV0s3R3Iwx 中枢神経系に対する薬物投与の形態として(嗅細胞経路でBBBを回避できる) 鼻腔噴霧があって、カフェインが大脳皮質に対する効果なら結構合理的なのかも...? 沖縄県立看護大には是非、カフェインを鼻にぶち込んだ時の計算能力を調べて頂きたい https://t.co/9K569R4dxM
外側にもあるのか。 鼻副鼻腔粘膜上皮なら尚更だめだな。血管介して、脳、心臓、肺のどこにでも到達するわな。 鼻から脳への薬物送達における輸送機構とナノシステムの役割 https://t.co/m47elOrFWA https://t.co/NGt7hykVws
最近の密かな趣味Nose-to-Brainのまとめ。 ・鼻から脳への薬物送達における輸送機構とナノシステムの役割 https://t.co/vVkm3Or53L ・経鼻薬物送達の現状と未来 https://t.co/tqpLdb5BQU ・新日本化学 / トランスレーショナルリサーチ事業 https://t.co/DsYdMpYXNi https://t.co/IeehV1gTrD

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