著者
曾根 三千彦
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.130-134, 2010 (Released:2011-07-08)
参考文献数
13

胃食道逆流症(GERD)と誘因不明な成人滲出性中耳炎(OME)症例との因果関係について検討した結果、GERD症状を有する症例の中耳貯留液中のペプシノーゲン(PG)濃度は、症状を有しない症例に比し高値例の割合が高いこと、症状を有する症例では両側性のOMEが高率である事が判明した。GERDとの関連を強く疑ったOME 症例では、プロトンポンプ阻害剤(PPI)投与後症状の改善と貯留液中PG濃度の低下、OME治癒に有効な症例も認められた。GERD有症率は病院受診者に比べて診療所受診患者により高い傾向があった。PPI反応不良例の中には高濃度のビリルビンや胆汁酸が認められた症例も存在し、PPI内服に加えてGERDに対する生活指導がOME治癒に有効である事も確認された。以上の事から従来の治療法に抵抗する誘因不明のOMEに対して、十二指腸・胃逆流を考慮した対応も選択する必要があると思われる。

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