著者
金築 優
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PA-010, 2021 (Released:2022-03-30)

知覚制御理論(perceptual control theory:PCT;Powers, 1973)と自由エネルギー原理(free energy principle:FEP;Friston, 2010)は共に,計算論的に行動の機能を説明する理論である。PCTとFEPは,ある程度の共通点もあるが,異なる点も多々あり,この2つの理論を比較することによって,両理論における新たな研究課題を見出すことが期待される。PCTは,脳は制御する対象を特定化する役割を果たしていると考えるが,FEPは,脳はサプライズを最小化させる役割を担っていると考えている。PCTにおける制御の特徴は,行動によって知覚を制御すると捉える点である。一方,FEPにおいて,予測(prediction)が重要な役割を果たしており,予測誤差の最小化が重視される。PCTは,予測なしに,制御が可能であることを主張する。FEPは,知覚と運動によって,予測誤差を最小化させていると主張する。予測の定義をどのように捉えるかによって,両理論がオーバーラップする部分は異なってくると考えられる。

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