著者
石川 知夏 小林 哲生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-005, 2021 (Released:2022-03-30)

言語音の印象に関する研究では,半濁音・清音・濁音の順に丸い印象を持つことが報告され,音象徴との関連から研究が進められている。しかし,日本語の濁音と半濁音はそれぞれに対応する記号(濁点と半濁点)が存在し,その形状が言語音の印象評定に影響を与える可能性がある。そこで本研究では,日本語話者と英語話者を対象として濁点と半濁点が仮名文字の丸さ-鋭さ評定に影響を与えるかを検討した。濁点・半濁点を付与可能な文字(は・ひ・ふ・へ・ほ;既存文字)と通常付与しない文字(れ・よ・レ・ヨ;新奇文字)に対して濁点と半濁点を付与したものとしないものを提示し,それぞれの文字の丸さ-鋭さを7段階で評定させた。その結果,既存・新奇いずれの文字でも日本語話者は半濁点を含む文字・清音を示す文字・濁点を含む文字の順で有意に丸いと評定し,半濁音・清音・濁音の順に丸い印象を持つという結果と一致していた。一方,英語話者は既存・新奇いずれの文字でも日本語話者と同様の結果は得られなかった。これらの結果から,母語話者にみられる濁点と半濁点の記号に関する知識が濁音と半濁音の印象評定に影響を与えている可能性が示唆された。

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