著者
岡林 秀樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.76-86, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
16
被引用文献数
21 4 6

本稿では,発達研究における方法論的・実践的問題について論じ,縦断データの解析方法を紹介した。第一に,人間のさまざまな性質の変化を正確に把握するために必要とされる,調査デザイン,測定,知見の一般化可能性についての方法論的問題が論じられた。次に,2時点で測定されたデータを用いて因果関係を分析するモデルとして,交差遅延効果モデルと同時効果モデルが解説された。さらに,3時点以上で測定されたデータの分析方法として,潜在成長曲線分析の基本的な考え方が解説された。最後に,多大な費用と時間がかかるが非常に価値の高い長期縦断調査を実施し,管理する際に生じる困難を克服するためには,個々の研究者が,実証科学の方法論に基づいた発達研究の重要性を再認識するだけでなく,学会全体が,より公共性を備えた研究体制の整備に取り組む必要があるという考えが示された。

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (2 users, 2 posts)

[statistics] 潜在曲線モデルの解説
[research][single subject]

Twitter (2 users, 2 posts, 2 favorites)

発達研究における問題点と縦断データの解析方法 https://t.co/k3PRSUKTdn
縦断調査の分析の難しさの説明や、交差遅延モデル、同時効果モデル、潜在成長曲線分析についての解説論文。 分析例もあって分かりやすい。 当時の日本の縦断調査の弱さに触れ、学会や国として縦断調査体制整備の重要性を説いている。熱意のようなものが伝わってくる。 https://t.co/GU2hxM9cug

収集済み URL リスト